定位置争い敗れベンチ外→新ポジションで躍動 見つけた”最適解”「僕には僕の良さがある」

流通経済大柏FWオゲデベ有規に脚光
ユース年代における夏の全国大会は高体連のインターハイ、Jクラブや街クラブは日本クラブユース選手権。覇権を手にしたチーム、志半ばで敗れたチーム、全国にたどり着けなかったチーム。それぞれの思いを抱えながら、全国各地のフェスティバルや合宿で夏以降の捲土重来を誓う選手たちの思いを描く「真夏の挑戦者」シリーズ。
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第16回は優勝候補筆頭と言われたインターハイで、無念のベスト4敗退を喫した流通経済大柏のムードメーカーでもあるFWオゲデベ有規について。183センチのサイズと豊富な運動量を持つ彼は、金子琉久と大藤颯太の看板2トップの間に割って入れずに苦しむ中、トップ下という新たな居場所を見つけた。
「高校3年生になって『今年こそは』という気持ちはありましたが、金子と大藤に比べるとプレミアで戦うだけのプレー強度などを出せていませんでした」
3年生同士の激しいFWのポジション争いから一歩後退するなかで、彼は2人にできて自分に足りないもの、自分にしかできないものを模索した。
「彼らは前線でボールを収めることができるのですが、僕はどちらかというと収まらなくて、受けてターンしてから何かをするタイプの選手。もちろん、自分の苦手とすることを克服することも大事なのですが、自分の武器を磨くことも大事だと思ったので、後者をどう活かすかを考えました」
最初の主戦場はセカンドチームのプリンスリーグ関東2部だった。プレミアEASTで開幕戦からベンチに入り途中出場するも、それ以降はベンチ外でプリンス関東2部の方に回った。
セカンドチームではFWではなく、1.5列目でプレーしたことで少しずつ自分の持ち味を発揮できるようになった。1トップに入るメンディーサイモン友、大友悠生もサイズがあって収めるのを得意とする選手で、オゲデベはその下でボールを受けてターンをしてサイドや裏のスペースにスルーパスを出したり、1トップにつながったボールのセカンドを受けて、前に飛び出したりと攻撃の経由点となるプレーを披露した。
新たなポジションで躍動
この献身的なプレーが徐々に結果を生み始め、プリンス関東2部・第5節のヴァンフォーレ甲府U-18との一戦で1ゴールを挙げると、その2日後のプレミアEAST第6節の前橋育英戦でベンチ復帰を果たすと、83分に投入されたポジションは金子と大藤の2トップの1列下だった。
「トップ下には上田哲郎や昇純希という実力派の選手がいますが、僕には僕の良さがある。高い位置でボールを受けることで攻撃のリズムを作ったり、サポートをしたりしながら、ゴールも狙う。プリンスだろうが、プレミアだろうが、与えられた場所で全力を尽くすことを意識しています」
トップでは金子と大藤の2トップとの相性は抜群だった。金子もオゲデベと同じフィニッシュも、落ちてボールを受けて展開したり、ゲームメイクをしたりすることができる選手。2人が入れ替わりながらゲームコントロールとアタックをこなすことで、相手にとって守備の的を絞りづらくなった。
「昇と一緒に試合に出るときは、僕が使われる立場になるなど、使う側、使われる側の両方を経験して、プレミアの強度に徐々に慣れながらやってくることができた。焦ることなく自分なりにやれたことが大きかったと思います」
インターハイでは初戦の四日市中央工業戦で後半から投入されると。準々決勝の飯塚戦ではスタメン出場から決勝弾をマーク。PK負けとなった準決勝・大津戦でもトップ下としてスタメン出場をし、金子と大藤の2トップと連動した。
「飯塚戦は大きな自信となりましたが、やっぱり相手がプレミア勢の大津となると、自分の良さを潰されてしまう現実を突きつけられました。掴んだ自信と改めて感じたプレーの引き出しの多さという課題を持ち帰って、再開に向けて取り組んでいます」
プレミアEAST後期の一発目は浦和レッズユース。彼が中学時代に所属をしたチームだ。
「帰省して当時のチームメイトとサッカーをした時に、浦和ユースに昇格した仲間から『流経柏のプレスって凄いよね』とか、『流経柏はやりづらい』と言われると、改めて素晴らしい環境でサッカーができているんだなと感じます。ユースに昇格できなかった悔しさはもちろん持っていますし、浦和ユースのMF田中一信は地元が一緒で仲が良くていろいろ話しますし、本当に対戦するのが楽しみです」
浦和ユースは現在、11位と低迷しており、残留に向けて後期の巻き返しを誓っている。一方の流通経済大柏は首位・鹿島アントラーズユースと勝ち点差1の2位につけており、優勝に向けて後期は取りこぼしができない。
「相手は僕たちを食って波に乗っていこうというメンタリティーでくるので、受け身にならずにしっかりと戦いたいし、僕にとっての大一番でもあるので、出番があったらゴールを決めて、後期のスタートダッシュにつなげていきたいです」
湧き上がるモチベーションを胸に。オゲデベはチーム内の厳しい競争の中で自分を律しながら、訪れたチャンスに全力を注ぎ込む。
(FOOTBALL ZONE編集部)



















