Jクラブ練習参加で痛感「こだわらないと」 意識改革→即実行で示した”プロ基準”「出さなかったエゴで示す」

流通経済大柏の増田大空に注目
ユース年代における夏の全国大会は高体連のインターハイ、Jクラブや街クラブは日本クラブユース選手権。覇権を手にしたチーム、志半ばで敗れたチーム、全国にたどり着けなかったチーム。それぞれの思いを抱えながら、全国各地のフェスティバルや合宿で夏以降の捲土重来を誓う選手たちの思いを描く「真夏の挑戦者」シリーズ。
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第15回は優勝候補筆頭と言われたインターハイで、無念のベスト4敗退を喫した流通経済大柏のレフティーサイドバック増田大空について。ボランチの島谷義進と「ダブルキャプテン」を司る増田は、J クラブの練習参加を通じて意識が大きく変わった。
インターハイはベスト4で大津高の前にPK戦の末に敗れたが、DFラインとしては全試合無失点に抑えるなど、増田は左サイドバックとして守備面で大きく貢献。攻撃面でもずば抜けた精度を誇る左足のクロスで、2回戦から準々決勝まで3試合連続のアシストをマーク。まさに大車輪の活躍を見せた。
そして、インターハイを戦い終えた後、J1の名古屋グランパス、J2のジュビロ磐田の2つのクラブの練習に参加。調子がいい状態で臨んだ練習参加は、どちらもプロでやっていける手応えは掴むことができた。その一方で、プロの基準を目の当たりにした。
「僕が目指しているプロの世界で活躍する選手になるということを考えると、まだまだ差があると痛感しました。特に一番感じたのは、シンプルに止める、蹴るの質が物凄く高い。ボールスピードが速いし、どの選手も予想外のボールが来ても、足元にピタリと止める。そういう細かい部分はもっとこだわらないといけないと思いました」
大きな刺激を受けた中で、左サイドバックとしてのプレースタイルを1から見直す機会にもなったという。
「サイドの選手は何でもできる選手が多い印象でした。僕はサイドからテンポを作ろうとしすぎてボールを持ちすぎてしまう傾向があるのですが、プロの選手はみんなシンプルに近場にボールを預けて動き直す連続でどんどん前進していく。だからこそ狭い局面を打開できるし、いざ突破の時はスピードと勢いを持って仕掛けることができる。ここは自分のプレーの幅を広げるチャンスだと感じました」
話のなかから、増田の非常にしっかりとした思考と、積極的に学ぶ姿勢を持つ選手であると感じる。Jクラブの練習参加をする選手は多く、今後のプレーの進化につなげていこうとする姿勢は共通して持っているが、体感したプロの基準と自分のこれまでの基準を比較しながら、そこに到達するための思考とアプローチの方法を具体的に導こうする選手は多くはない。
練習参加後すぐにプロの基準を持ってプレー
プレミアEAST後期開幕を1週間前に控えた桐生第一(プリンスリーグ関東1部所属)とのトレーニングマッチ。増田はシンプルにパスで周りを使ったり、ワンツーや中央に展開をしてからサイドや中央のスペースに飛び込んで行ったりするなど、発した言葉通りプロの基準を持ってプレーをしていた。
ワンタッチを見せた後のプレーでは、パスを出すと見せかけてドリブルで一気に突破を仕掛けるなど、バリエーションを加えながら、隙あらばシュートを狙う積極性が見られた。
自分が体感したものとこれまで培ってきたものを組み合わせて、左サイドで攻守において起点を生み出すなど、練習試合で示した実践力の高さは、この試合も視察に訪れていた複数のJクラブのスカウトの目にも止まったはずだ。
「ジュビロさんに行った時に、『チャンスメイクだけでなく、得点をどんどん狙っていけるサイドバックが理想』と言ってくださったからこそ、試合で勝負を決定づけられるサイドバクになりたいという思いが強くなりました。これまであまり出さなかったエゴの部分で、『自分でも行けるんだぞ』というところを示していきたいと思います」
もちろんキャプテンという立場である以上、エゴばかりではなく、常に周りを見て鼓舞したり、チームを律したりする立場なのは理解している。
「後期になれば、1失点、1敗の重みが前期より大きくなるし、負けた時のダメージは計り知れなく大きい。もちろん全勝するつもりで挑みますが、仮に負けがあったときにどうチームを立て直すか。下を向いてしまったり、チームの方向性がズレそうになったり、いろんなエラーが出てくると思う。そういう時に自分が島谷とどうやってチームを1つの方向に向けさせるか。悪い雰囲気を引きずれせない、切り替えて、これまでやってきたことをチームとしても個人としても信じさせる。そのためには声かけだけではなく、自分がしっかりとぶれない姿勢でプレーし続けることも大事だと思っています」
まだ進路は決まっておらず、個人の将来への不安はないわけではない。だが、プレーと思考の幅が広がったことで、プレー面では大きな自信をつかみ、人間性の面でも大人になった。確実に個の成長を実現できているだけに、後は全力でやり続けて、結果を待つのみ。増田の腹はもう据わっている。
(FOOTBALL ZONE編集部)



















