吉田麻也が語る森保J「明らかに違う」 カタールから変化…移動だけじゃないW杯優勝の“鍵”

来年のW杯は「移動と本拠地が鍵」
メジャーリーグ・サッカー(MLS)のLAギャラクシーに所属する元日本代表DF吉田麻也が、「FOOTBALL ZONE」の取材に応じた。来年の北中米ワールドカップ(W杯)の展望、そして今回の米国遠征を行う日本代表への思いを明かした。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・井上信太郎/全2回の2回目)
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2023年8月にLAギャラクシーに加入して2年が経った。MLSでのプレーも3シーズン目を迎え、移動や施設、ビジネスなどスケールの大きさを体感した。そんな場所で行われる来年の北中米W杯。勝ち上がるには何が必要になるのだろうか。
「移動と、日本の本拠地(ベースキャンプ地)は絶対鍵になるでしょうね。もちろんグループによるんですけど、やっぱり西側に入ったら一番楽だと思います。真ん中、セントラルに入ったら高地もあるし、気候差もあるし、メキシコも入ってくるし、大変になる。最近、よく日本協会の人も来たり、松本フィジカルコーチも来たり、6月はクラブW杯もあったので、Jリーグの関係者もたくさん来て。ようやくみんなアメリカのことを理解し始めてきたかなと。よく話は聞かれますね」
これまで日本代表として2014年のブラジル大会、2018年のロシア大会、そして前回2022年のカタール大会と3度出場してきた。キャプテンとして出場したカタールでは優勝候補のドイツ、スペインを破るなど結果を残したが、そこにはカタールという土地柄もあったという。
「今回の大会に限らずですけど、その土地のことを知っているというのが大きいんじゃないかなと。やっぱりカタールの時は移動が少なかったのはありますけど、ほとんどの選手がカタールで何度も試合をしたことがあって、環境面や生活面とかピッチとか全部、何の苦労もなかった。それはブラジルやロシアとは違ったなと。それが大きかったと思います。今回もこの9月シリーズで選手たちが実際に体験して、移動だったり、気候だったり、環境を把握するっていうのはすごい大きなことになると思うので。森保監督も、まだアメリカに来たことがないと思うので、これから見始めて、どう準備をしていくかが大事だなと思います」
それでもカタールでは決勝トーナメント1回戦でクロアチアに1-1からPK戦の末に敗退。日本サッカー悲願のベスト8には届かなかった。あれから3年近く経ったいま、何が足りなかったと感じているのか。
「ひとつだけじゃないと思います。いろんなきっかけ、いろんな積み重ねだとは思うんですけど、この3、4年で一番大きく変わったのは、選手の経験値が格段に上がったなというのは見ていて思いますね。選手たちの日常が非常にW杯で戦うようなものと近いものになっているなと感じますね。あとは明らかに日本のJリーグの価値が高まったなと。W杯で結果を出したというのもあるんですけど、個々の選手が結果を出し続けて、(三笘)薫とか、(遠藤)航とか、タケ(久保)や(堂安)律も今回移籍したし、そうやって彼らが日本を引っ張っていると思いますね」
メキシコは「勝つ術を知っている」
今の日本代表は史上最強との呼び声高い。W杯アジア最終予選を7勝2分1敗と圧倒的な強さで勝ち抜いた。吉田の目にはどう映っているのだろうか。
「いや、強いと思いますよ。誰が出ても大崩れをしないというのは可能性を感じますよね。史上最強かどうかはおそらく日本サッカーが発展する以上、常に史上最強でなければいけないと僕は思っているので、正しいプロセスなんじゃないかと思います」
だからこそ、今回の米国遠征は森保ジャパンにとって試金石となる。特に現地時間6日にオークランドで戦うメキシコとは、これまでA代表では1勝4敗。唯一の勝利は1996年に福岡で対戦した時で、アウェー、または中立地で勝ったことはない。
「このシリーズ楽しみですね。最終予選はちょっと差がありすぎて、分からない部分も正直あったので。ほぼアウェーの地でメキシコと戦うので。やっぱりメキシコは上手いし、勝つ術を知っているんですよ。リーグスカップではメキシコのチームと対戦したり、結構こっちにはメキシコの選手がたくさんいるのでよくやるんですけど、相手の裏をかくプレーとか、出し抜く選手が多い。アウェーでそういう選手たち、チームとやれるのは非常にいいマッチメイクだなと思います」
8月24日で37歳になった。現地時間8月31日に行われたオーランド・シティとのリーグスカップ3位決定戦ではフル出場。高さで相手に競り勝つことはもちろん、若いDFに声を掛けるなどリーダーシップを発揮し、チームを勝利に導いた。いまなお、日本代表でも見たいと思わせるパフォーマンスだった。
「今シーズンに対しては満足できないですよ。パフォーマンスは去年より納得できない試合が多いですし、センターバックってどうしても一人でできるものではないので。結果も伴ってないですし、まずチームに貢献できないと、その先もないので。今は自分のプレーに集中していますし、それはよく(チームメートの山根)視来(みき)とも話しますけど、まずは自分たちはここで結果をちゃんと出さないと。決してこのリーグが、日本や他のヨーロッパの5大リーグ以外の所に劣っているとは思わないので。まずはしっかりパフォーマンスを上げることが大事になると思っています」
アメリカの地で、自身の成長と向き合い、日本サッカーの発展を考え続ける吉田。この経験は、日本代表に、そして日本サッカーの未来に必ず生きるはずだ。
(FOOTBALL ZONE編集部・井上信太郎 / Shintaro Inoue)





















