トップ内定も「クビになってしまう」 先輩から助言…17歳逸材が抱く“危機感”「ユース感覚でやるな」

神戸U-18瀬口大翔に脚光
高校生たちにとって全国大会が終わったこれからが本当の夏を迎える。高体連はインターハイ、Jクラブユース選手権。覇権を手にしたチーム、志半ばで敗れたチーム、全国にたどり着けなかったチーム。それぞれの思いを抱えながら、全国各地のフェスティバルや合宿で夏以降の捲土重来を誓う選手たちの思いを描く「真夏の挑戦者」シリーズ。
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第11回は和倉ユースサッカー大会(以下・和倉ユース)を制したヴィッセル神戸U-18の攻撃の中枢を担う左サイドハーフ・瀬口大翔について。7月31日に来季からのトップ昇格が決まった彼が口にするプロで生き残って行くために必要なものとは。
どんな試合でも意識1つで成長速度は大きく変わる。それがたとえ公式戦ではない、フェスティバルの1試合でも。
和倉ユースを通じて、神戸U-18の中心人物であり、来季トップ昇格が決まっている者として、瀬口は大車輪の活躍を見せて優勝に貢献した。FW、トップ下、左サイドと多くの役割を担いながら、常に動いて中盤、最前線で顔を出してボールを集約。そこで時間を作ると、サポートや追い越してきた味方に正確なパスを供給する。これは前期を首位ターンしたプレミアリーグWESTでも見せてきたことだったが、今大会において瀬口は自らに課題を課していた。
「プレースタイル的にチャンスメイクをすることがメインになるのですが、チームを勝たせる選手になるという面では、もっとゴールを決めきる力が自分には必要だと。ずっと目標としていたプロになるということは叶ったのですが、これからの世界はもっと結果を出していかないと、言い方は悪いかもしれませんが『クビ』になってしまうので、いよいよ言い訳無用の勝負の時が始まるなという覚悟が生まれたからこそ、こうした大会を通じて、やり切れるかを重要視していました」
和倉ユースを通して、ゴールに絡む強い意志がプレーから感じられた。常に首を振り、立ち位置を取りながら、ファーストタッチでは前を向く。グループリーグ第2戦の西武台高戦で決勝弾(1-0)をマークすると、準決勝の藤枝東戦では後半15分にゴール前のヒールパスでチャンスを作ると、こぼれ球に反応して右足一閃。今大会2試合目となる決勝弾(1-0)をゴール右隅に突き刺した。鹿島アントラーズユースとの決勝でも前半13分に左サイドでボールを引き出すと、タッチラインギリギリで縦突破を仕掛けて、相手の陣形を崩してから、急停止からのスルーパスでMF里見汰福の先制弾を導き出した。
「1-0と試合を決めるゴールを決めて勝ち切れたことは手応えにつながりました。でも、トップの練習に参加をして感じた攻守の切り替えのスピードなど、プレースピードや強度などはもっと磨いていかないといけないと感じました」
トップで感じるユースとの違い
トップに参加する度にプロの世界の厳しさを感じる。神戸は大迫勇也、武藤嘉紀、酒井高徳などW杯出場を経験し、5大リーグで活躍をしてきた偉大なるベテランたちがチームを牽引し、練習中も若手や練習生に関係なく、プロフェッショナルとして戦う雰囲気を作り出している。その世界に飛び込むと当然、迫力などに圧倒されるし、鋭い指摘を受けることもある。
「指摘は物凄く的確なんです。『怖い』と捉える人もいるかもしれませんが、僕は『自分のものにできる』と成長するチャンスだと捉えているので、もっと積極的にチャレンジをして、言われたことをきちんと聞いて自分のものにしていきたいと思っています。印象的だったのは切り替えのスピードをユースの感覚でやるなと。『足が止まっているぞ』と指摘を受けたときは、本当にその通りだと思ったし、このトップの感覚で常にやれることで成長すると思ったので、意識をしています」
今年2月のAFCチャンピオンズリーグエリート2024/2025の上海申花戦でトップデビューを果たし、17歳1か月の公式戦クラブ最年少出場記録を更新した。
「上海申花戦は短い時間のプレーになってしまったのですが、アップでの緊張感、ノエビアスタジアムの雰囲気、観客の人数など、公式戦の緊迫感を味わえたことは大きかった。よりあのスタジアムでスタメンとしてピッチに立ちたいという気持ちが強まっています」
早生まれでもある彼は、11月にカタールで開催されるU-17日本代表の主軸候補でもある。多くの刺激と渇望、ターゲットを持って、神戸の希望の星は真っ直ぐに未来を見つめて、成長の夏を過ごしている。
(FOOTBALL ZONE編集部)



















