秋春制で懸念の過密日程「現在もある」 欧州より短い開催期間…求められるリーグの手腕

秋春制でJリーグに求められる手腕とは?(写真はイメージです)【写真:徳原隆元】
秋春制でJリーグに求められる手腕とは?(写真はイメージです)【写真:徳原隆元】

来月からACLがスタートする

 2025-26シーズンのアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)の日程が決まり、いよいよ過密日程がスタートした。FC町田ゼルビアを例に取ると、8月16日にセレッソ大阪戦、20日にガンバ大阪戦、23日に横浜F・マリノス戦、27日に天皇杯準々決勝・鹿島アントラーズ戦、31日に川崎フロンターレ戦と続く。

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 また、9月27日にホームのファジアーノ岡山戦、30日にACLエリート・アウェーのジョホール戦、10月4日にアウェーのサンフレッチェ広島戦と、移動が大変な戦いも待っている。

 こういった過密日程は、シーズンが秋春制に移行する2026-27年以降はさらに増えるのではないかという懸念がある。というのも、秋春制のヨーロッパは5月末にリーグ戦が終了し、8月から次のシーズンが始まるという2か月のオフはあるものの、冬の中断期間は短い。

 しかし、日本は12月第2週から2月下旬まで約2か月の中断期間があり、リーグ戦が行われないのは合計4か月になる。ヨーロッパに比べると試合の開催できる期間が短いのだ。

 この懸念をJリーグ幹部にぶつけてみた。するとJリーグはもっと細かく精査しているという。

「4か月の中断期間があるということですが、今年はE-1選手権で1週末2週間、サマーブレイクも2週末2週間の中断期間がありました。この2回をあわせると現在でも3週末約1か月の中断があります」

 現在の春秋制では中断期間が12月上旬から2月初旬までの2か月間。ここにE-1選手権とサマーブレイクで1か月の中断期間があるため、現状でも3か月はJリーグのない期間があるのだという。

 さらに秋春制になって12月上旬にリーグ戦が中断期間に入ったあと、天皇杯が組み込まれる可能性もあるはずだ。今後とも天皇杯の決勝が1月1日に行われるかどうか決まっていないが、2025年の天皇杯は6月11日・18日に2回戦、7月16日に3回戦、8月13日・20日にラウンド16、8月27日に準々決勝、11月16日に準決勝、11月22日に決勝が開催される。

 この日程を後ろ倒しして12月のリーグ戦終了後に入れられれば、週半ばに入れていた天皇杯の週中開催分をリーグ戦に使うことができる。すると実質リーグ戦がない期間が2か月と1~2週末になる。現在も週中に試合のない場合もあり、そこも活用すれば現状と比べて極端な過密日程ではなくなるという説明だった。

 確かに2025年シーズンの日程なら秋春制にしても現状と比べて大きな違いは出てこないだろう。では別の大会が入ってきた場合はどうなるか。

 アジアで一番の懸案材料は、アジアカップの日程だ。毎回のEUROのように各国のリーグ戦が終わったあとに組み込まれているのなら調整はつきやすい。ところがアジアカップは開催場所によって時期がまちまちだ。

 2011年、2015年、2019年、2024年のようにカタール、オーストラリア、UAEで行われたときは1月開催だった。ところが2004年の中国、2007年の東南アジア4か国で開催された大会は7月~8月、2000年のレバノンは10月だった。

 7月~8月にアジアカップがあればシーズン前ということで対応できる。1月に開催されればウインターブレイク中で、リーグ戦への影響は少ない。アジアサッカー連盟がACLの開催時期を秋春制にしたということは、今後は10月のアジアカップ開催はないかもしれない。

 代表選手には辛い日程になるかもしれない。だがヨーロッパではウインターブレイクがない中で試合が続いていくことを考えると、8月から5月までは週2回の試合が続き、2年に一度はオフシーズンにワールドカップやアジアカップが入るというスケジュールは、代表選手に求められる日程ということになるだろう。もっとも日本代表にJリーガーがもっと入っていかなければリーグ全体への影響は少ないのだが。

 こうやって細かく詰めていけば、まるまる2か月分の過密日程にはならないようだ。それでも今よりはリーグ戦のスケジュールが密になるのは間違いない。

 となると、あとはそれでJリーグの価値が高まり、各クラブが財政的に豊かになれるかだ。秋春制にして資金が豊富になれば、日程が過密になっても対応できるだけの選手層を抱えることができる。どうやってリーグの価値を上げていくか、そこがJリーグの手腕で最も大切になってくる。

(森雅史 / Masafumi Mori)



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森 雅史

もり・まさふみ/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。

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