2歳下の弟、1歳下の怪物FWも…「決して折れない」 真夏の戦いで見せた兄の“意地”

鹿島ユース3年FW髙木輝人「結果を残せる選手に」
高校生たちにとって全国大会が終わったこれからが本当の夏を迎える。高体連はインターハイ、Jクラブユース選手権。覇権を手にしたチーム、志半ばで敗れたチーム、全国にたどり着けなかったチーム。それぞれの思いを抱えながら、全国各地のフェスティバルや合宿で夏以降の捲土重来を誓う選手たちの思いを描く『真夏の挑戦者』シリーズ。
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第6回は日本クラブユース選手権で優勝を遂げ、プレミアリーグEASTでも前期1位で折り返した鹿島アントラーズユースの3年生FW髙木輝人について。プレミアEASTでは開幕から3試合連続でスタメン出場を果たし、チームの初ゴールを含む2ゴールをマークするが、それ以降はベンチ外となっていた。だが、日本クラブユース選手権でついにベンチ入りを果たすと、1試合にスタメン出場、準決勝と決勝を含む4試合で途中出場を果たした彼は、和倉ユースサッカー大会(以下・和倉ユース)で兄弟2トップを組んで躍動した。
「僕は正直、技術が足りないので、武器であるチームのために走り、体を張る部分をピッチで出し切るだけです。トップでレギュラーを掴めていないのは悔しい気持ちはありますが、現実を受け入れながら結果を残せる選手になれるように努力をするだけです」
輝人には2学年下の弟・瑛人がいる。瑛人はU-15日本代表、U-16日本代表のストライカーで、鹿島ユースでは1年生ながらプレミアEAST前期に8試合出場し、2ゴール。日本クラブユース選手権でも5試合にスタメン出場し、決勝戦の追加点を含む2ゴールをマークし、優勝に貢献をしている。
瑛人とはプレミアEAST開幕戦の横浜FCユース戦で2トップを組んだ。だが、そこから2試合は瑛人がベンチ外となり、第4節の青森山田戦ではスタメンとベンチ外が入れ替わる形となった。
「弟以外にもFWには同い年の正木裕翔、1学年下の吉田湊海など力のある選手がたくさんいるので、僕はそこに負けない気持ちもあるけど、もしレギュラー争いに負けてしまった時に、そこで崩れずにやっていきたいという思いがあります。必ずやりきる、決して折れないことを大事にしています」
厳しい競争にさらされるのは覚悟の上だった。ましてや弟の能力を見て、同じ道に進んだ以上、自分が苦しむこともあることも。自分がやるべきことにきちんと目を向けて、コツコツと武器を磨く毎日。
きっかけを掴んだクラブユースから和倉ユースにやってくると、吉田がトップチーム帯同で不在だったこともあり、瑛人と兄弟2トップを組んでチームを牽引。J3ツエーゲン金沢のホームスタジアムであるゴーゴーカレースタジアムで行われたヴィッセル神戸U-18との決勝戦でも、兄弟揃ってスタメン出場をした。
「プレミア開幕戦以外にも練習試合で何回か組んでいたので、非常にやりやすさはあります。でも、この大会で感じたのは、やっぱり僕がもっと力をつけないといけないということでした。僕ら2人の武器はクロスからのゴール。今大会は瑛人がクロスから何本もゴールを奪っていて、決勝でもクロスからヘッドでゴールを決めた。僕もゴールはできたけど、クロスからのゴールはなかった。そこは悔しい気持ちと、今大会で自分が足を引っ張ってしまったと感じる部分もあったので、そこは現実として受け止めていきたい」
決勝でPK戦の末に敗れた後、輝人はこう口にした。もちろんネガティブな部分ばかりではない。
「瑛人との距離感、コンビネーションはスムーズにできた部分があったことが、今大会の1番の収穫です」
やはり兄弟で組む2トップは格別だった。これからも2トップを組んでプレミアなどに出場をしたいと思う一方で、輝人の中にも弟に負けられないプライドがあった。
「高校生活も残り半年。後悔のないように全力で自分を磨いていきたい。兄弟で2トップを組むこともそうですが、僕が先にスタメンで出場をして、弟が交代で入ってくるようにもしないといけないと思っています。だからこそ、武器であるクロスの入り、得点能力をもっと磨いて結果を出せる選手になりたいと思います」
サッカー選手としての意地と兄の意地。髙木輝人は覚悟とともにこの半年を走り抜ける。



















