ボールを持つと何かが…優勝校を脅かしたドリブラー 強豪大から誘い「プロ目指して」

尚志高の臼井蒼悟「プロを目指しているので、大学サッカーの強豪に進んで」
8月2日に幕を閉じたインターハイ男子サッカー。昨年度から5年間、福島県での固定開催となったこの大会は、全国の予選を突破した51校が激しい戦いを演じた末に、神村学園が初優勝を飾った。真夏の福島で躍動を見せながらも、志半ばで『敗れし者たち』をピックアップしていく。
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第18回は準決勝において神村学園と激戦を演じ、試合終了間際に直接FKを浴びて、1-2で敗れた地元・尚志高のドリブラーFW臼井蒼悟について。サイドで彼がボールを持つと何かが起こる。ボールタッチをしながらグングン加速をする彼のドリブルは一見の価値ありだ。
インターハイ準決勝、2バックシステムを敷く神村学園に対し、左サイドハーフに入った臼井は、サイドバックが上がってできたスペースを狙っていた。ボールを受けるとファーストタッチを大きくしてそのスペースに飛び込んで、一気に加速をしていく。
前半、神村学園は臼井の積極的なドリブルに手を焼くシーンが多かった。だが、アンカーを務めた神村学園のMF堀ノ口瑛太が機転の効いたカバーリングを見せ、ゴール前ではCBと2人がかりで臼井の突破を食い止めたことで、彼からのチャンスを思うように作らせなかった。結果、1-1で迎えた後半23分に交代を告げられ、後半ラストプレーの神村学園MF佐々木悠太のビューティフルFKをベンチから見つめることしかできなかった。
最後は悔しさの残る結果に終わったが、この大会で改めて彼のドリブルの破壊力とポテンシャルを示すことができた。初戦の寒川戦で1ゴールをマークすると、3回戦の桐光学園戦では冷静な抜け出しから先制点をマーク。準々決勝の帝京長岡戦では右サイドハーフとして積極的なカットインと縦突破で何度もチャンスメークをした。この大会、左右両サイドをこなし、どちらのポジションでも持ち味であるドリブルで攻撃を活性化していたことは間違いなかった。
「全国制覇をしたくて尚志に入ったので、もっと自分がドリブルの精度を磨いていかないといけないと思いました。そのなかでプレミア勢とやることができたのはプラスだし、やっぱりこのレベルからゴールを奪わないといけないと思いました」
栃木SCU-15から志を持って福島にやってきたが、現実は厳しく、トップチームで思うように出番を掴めなかった。昨年はトップチームがプレミアリーグEASTを戦ったが、一度も出番は来ず、セカンドチームの一員としてプリンスリーグ東北を主戦場とした。
それでも持ち前の突破力を生かして11ゴールを叩き出して得点ランキング2位に輝くなど、与えられた場所で努力を続けたことで、3年になってついにレギュラーの座と尚志のアタッカーの証ともいえる背番号7を背負うことになった。
「試合にずっと出たかったけど、僕の課題である守備面で甘さが残って、上で使われませんでした。そこの課題は理解していたつもりですが、本当に理解をするまでに時間がかかってしまった」
こう口にしたように、課題の守備はまだまだやるべきことが残っている。だが、左右両方でも突破するドリブルと運ぶドリブルを使い分け、アウトサイドやインサイドなど多彩な球種を誇るパスとキックでチャンスを作り出す力は、今のチームにおいて唯一無二となっている。
「プロを目指しているので、大学サッカーの強豪に進んで、引き続き守備を鍛えながら、ドリブルをもっと大きな武器にしていきたいと思っています」
今、彼のもとには強豪大学からのオファーが届いており、まだ進路は決めかねている。どこを選ぼうとも、彼がやるべきことは明白で、その意思は変わらない。インターハイで得た手応えと課題を胸に、冬にはより相手にとって脅威のドリブラーになるために、臼井は常に自分の武器と課題に向き合い続ける。
(FOOTBALL ZONE編集部)



















