高1とは思えぬ肉体…入学直後から不動の主力 ルーキーが感じた「全国大会の難しさ」

帝京長岡の児山雅稀「Jユースよりも高校サッカーで人間的にも成長をしたい」
7月26日から福島県で開催されているインターハイ男子サッカー。全国の予選を突破した51校が真夏の王者の栄冠をかけて激しく火花を散らすこの大会で、躍動を見せながらも、志半ばで「敗れし者たち」をピックアップしていく。
【PR】DAZNを半額で視聴可能な学生向け「ABEMA de DAZN 学割プラン」が新登場!
第16回は準々決勝において、地元・尚志にPK戦の末に敗れ、2年連続ベスト4進出を阻まれた帝京長岡の1年生FW児山雅稀について。開幕前のフェスティバルからトップデビューをし、入学直後から不動のレギュラーとして活躍するスーパールーキーの高校初の夏とは。
屈強なフィジカルは1年生とは思えない。技巧派集団の帝京長岡のなかで、最前線に君臨する児島の存在感は絶大だ。パワフルなドリブル突破もできて、相手を抑え込んでのボールキープからのポストプレーもできる。足元の技術も磨いている最中で、プレーの引き出しは着実に増えている。
彼の魅力は度胸にある。中学時代に兵庫県のフレスカ神戸ジュニアユースでプレーしていた彼は、そのスケール感と突破力を評価され、U-15日本代表としてウズベキスタン遠征、フランス遠征を経験したタレントだった。
高校進学時には当然のように多くの強豪校やJクラブユースから声がかかったが、そのなかで自分とはプレースタイルが少し異なる帝京長岡を選んだ。
「フィジカルやスピードには自信があったのですが、それだけの選手になりたくはなかった。でも、Jユースよりも高校サッカーで人間的にも成長をしたいと思っていたので、進路は少し悩みました。そのなかで(フレスカ神戸の)2人の先輩が帝京長岡に進んでチームの中心になっていましたし、パスやドリブルなど、個の技術の向上ができるチームという印象を持っていました」
実際に練習参加をしてみると、2学年上の柳田夢輝(昨年の10番)と1学年上の和食陽向(今年の14番、1年生から不動のレギュラー)が中学時代よりも技術レベルが格段に上がっていることに衝撃を受け、「ここなら僕の課題である足元の技術を磨いていくことができる」と確信した。
「和食さんがダブルタッチでかわしていくドリブルに憧れました。僕もパワーに頼らずに、タイミングや細かいボールタッチでかわしていきたい。もちろんフィジカルもスピードもまだまだなので、長所は伸ばしながら、和食さんのように相手の脅威となるプレーがしたいと強く思いました」
確かな理想像を入学する段階で持てたことで、彼はすぐにレギュラーの座を掴んでも、そこにあぐらをかくことなく、日々の練習から自分の課題に真っ向から取り組むことができた。
プレミアリーグWESTでは第5節のガンバ大阪ユース戦で、ゴール前のこぼれに素早く反応してプレミア初ゴールを叩き込むと、続く第6節の大津戦では和食のシュートのこぼれに反応して決勝弾をマーク。前期最終戦の第11節・静岡学園戦では2ゴールを叩き込み、チームナンバーワンの4ゴールを挙げている。
今大会でもゴール前の反応の速さとボールキープに加え、磨いてきたボールタッチを駆使して、相手を剥がしてからのフィニッシュワークで存在感を発揮し、3回戦の滝川第二戦で2ゴールをマークして3-2の勝利に貢献をした。
しかし、準々決勝の尚志戦ではノーゴールに終わり、PK戦の末に敗退を喫することとなった。
「全国大会の難しさを感じました。尚志の守備は独特というか、プレミアでは背負ったら相手もガツガツきて、それに対してパワーで対抗したり、その力を利用して前を向いたりできるのですが、きょうは飛び込んでこないので、間が空いてしまった。感じたのはそこで前を向ける余裕と技術を持たないといけないと思いました。いつもとタイプの違うセンターバックと対峙したときに、それに応じたプレーができるようにならないといけないと思いました」
やはり課題となったのは技術的な面。それなりに足元もついてきた手応えはあったが、相手の守備のアプローチの違いに対応できなかった自分の未熟さを痛感した。
「1年でここまで経験させてもらっているからこそ、これからの行動とかももっと考えてやらないと周りの先輩たちに示しがつかない。経験させてもらっているからと甘えてはいけないなと。帝京長岡の環境は僕にとって課題改善に集中できる素晴らしい環境だと思っているので、この3年間でどれだけ自分を伸ばして、勝利に貢献できる選手になれるかにこだわっていきたいと思います」
この発言も1年生とは思えない。このメンタリティーが彼をここまで引き上げ、これから先もさらなる上のステージに導いていく原動力となっている。
「できないことにチャレンジすることは苦手ではないですし、大好きです」
この言葉を信念と度胸に変えて。児山はチームのため、何より自分自身のために、何度壁にぶち当たっても、最前線で果敢なチャレンジをやり続ける。
(FOOTBALL ZONE編集部)



















