3連敗で遠のくJ昇格「規律を崩さない」 巻き返しへ…58歳カズが語る“夏休み”の過ごし方

鈴鹿FW三浦知良は9戦連続ベンチ入りも出番なし
JFLアトレチコ鈴鹿が終了間際の失点で痛い黒星を喫した。鈴鹿は7月27日、ホームの三重交通Gスポーツの杜でミネベアミツミFCと対戦。1-1で迎えた後半アディショナルタイムにゴールを奪われ、1-2で3連敗となった。9試合連続でベンチ入りしたFWカズ(三浦知良、58)は、リーグ戦中断前最後の試合も出番なし。8月末の再開に向けて、自身とチームの巻き返しを誓った。
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「何度も何度も同じ負け方をするというのは、何かが足りないということだと思う」
カズは悔しそうに口を開いた。開始1分に先制を許したものの、同31分にFW福元友哉(26)のゴールで同点。その後は優勢に試合を進めながら得点が奪えず、逆に終盤は一方的に攻め込まれてアディショナルタイム5分に決勝点を奪われた。
前節の横河武蔵野FC戦もアディショナルタイム5分にゴールを奪われ、0-1の敗戦。同じような展開での連敗に、山本富士雄監督も「選手にも我々にも嫌なイメージが残っている中で、何とか勝ち点3を狙ったことが裏目になった」と振り返った。
J3昇格条件である2位以内を目指すチームにとっては、厳しい状況が続いている。前節の武蔵野、今節と順位的には「格下」チームに敗れて16チーム中11位。武蔵野戦後、カズは「次の試合(ミネベアミツミ戦)に勝って中断期間を迎えることが大事」と気持ちを切り替えながら話していたが、願った結果にはならなかった。
カズ自身のコンディションも上がっていない。6月初めに今季初めてベンチ入りした時は「まだ20、30パーセントぐらい」と話したが、この日は「落ちましたね。マイナス20パーセント」と苦笑い。「それは冗談ですけど」と言いながら「試合に出て上げていくものだけど、出ていないので。まあ、変わらないですかね」と話した。
少なからず猛暑の影響もあるはず。「夏は暑いですからね、しょうがないですね」と笑ったが、もともと決して得意ではない。40年のプロ人生を通しても7、8月のゴール数は少なく、シーズン終盤に向けて調子を上げて11月に最も多くのゴールをあげている。
鈴鹿ポイントゲッターズでJFL初挑戦した2022年も途中戦列を離れながらも徐々に調子を上げ、10月と11月のゴールでチームに貢献した。変わらず終盤の強さを見せたが、本人は「昔の話ですね」と冷静。「去年は最後に怪我をしてしまったし、分からない」と話した。
リーグ戦再開の8月30日まで、JFLは1カ月の「夏休み」。例年中断期間でガラリと変わるチームも多い。「どうやって失点を防ぐか、得点をとっていくか、両方のバランスが大切。集中力を高め、勝ちたいという気持ちを相手より強く持つこと」とカズ。6試合連続勝利がない状況を苦慮し「一番よくないのは、選手がバラバラになること。チームの規律を崩さないこと」と、真剣な表情で話した。
チームは1週間の休みをはさみ、再始動。練習試合をこなしながら再開を目指す。「中断と言っても、やることは変わらない。公式戦はないけれど、いつもの試合に向かうルーティンでやる」とカズ。「中断期間中に立て直したい」と話した山本監督も、カズについて「今よりコンディションが悪くなることはないし、いい状態で再開を迎えてくれると思う。ゴールに絡んでもらいたい気持ちは変わらない」と後半戦への期待を込めて話した。
JFLは全30節のうち18節を終え、レイラック滋賀が勝ち点34で首位。ヴェルスパ大分(同33)、ラインメール青森(同32)とJ3昇格を目指すチームが上位に並ぶ。三重県から初のJリーグ入りを目指す鈴鹿がどこまで上位に食い込めるか、チームにとって、カズにとって、巻き返しへの8月になる。
(荻島弘一/ Hirokazu Ogishima)
荻島弘一
おぎしま・ひろかず/1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者として五輪競技を担当。サッカーは日本リーグ時代からJリーグ発足、日本代表などを取材する。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰。20年に同新聞社を退社。




















