2軍も首位…層の厚さで「相手を飲み込む」 高校サッカー総体、優勝候補が持つ危機感

インターハイで優勝候補筆の流通経済大柏【写真:FOOTBALL ZONE編集部 】
インターハイで優勝候補筆の流通経済大柏【写真:FOOTBALL ZONE編集部 】

インターハイで優勝候補筆頭に挙げられる流通経済大柏、層の厚さが強み

 7月26日から開幕するインターハイにおいて、優勝候補筆頭に挙げられるのが、昨年度の選手権のファイナリストであり、今年もプレミアリーグEASTで2位につける流通経済大柏と同・4位の前橋育英だ。開幕を前に2つの優勝候補のチーム紹介と夏に懸ける思いをコラムにしたい。後編は流通経済大柏について。

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 プレミアEASTでリーグ1位の25得点、リーグ1位の少なさとなる11失点。流通経済大柏は今、ユース年代で攻守のバランスが最も良いチームと評されている。

 昨年度の選手権準優勝メンバーはFW安藤晃希の1人だが、セカンドチームがプリンスリーグ関東2部、サードチームが千葉県リーグ1部を戦っており、選手の経験値は非常に高い。成績もトップはプレミアEASTにおいて前期終了時点で2位だが、開幕から長らく首位を快走していた。セカンドチームもプリンス関東2部で首位を走っており、チーム全体のレベルの高さも全国トップクラスだ。

 トップの陣容を見ると、プレミアEAST得点ランキング1位(8ゴール)の187センチの大型ストライカー・大藤颯太と、同5位で6ゴールを叩き出しているFW金子琉久の2トップは強烈。この2人は今年最も伸びた選手と言っていいほどで、大藤はポストプレーの強さに加え、裏抜けやゴール前での反応の速さとシュートスキルが飛躍的に成長し、金子は前線からの激しいプレスとセカンドボールの回収能力が研ぎ澄まされてきた。

 この2トップが攻撃だけではなく、守備の号砲を鳴らし、ここにトップ下の上田哲郎、アンカーの島谷義進が連動して高速プレスを発動して行く。

 左からは安藤が矢のようなドリブルを仕掛ける一方で、後方から左サイドバックの増田大空が精度抜群の左足でチャンスを作り出す。右からは山元琉士がバランスを取りながら起点を作り、右サイドバックの職人・乙川宙が鋭いオーバーラップを仕掛けてくる。

 最終ラインも2年生CB大徳剛矢が急成長し、DFリーダーの廣瀬煌とともに強気のラインコントロール、裏への対応と安定感が増している。187センチのGK藤田泰土もセービングの範囲が広く、ビッグセーブでチームを救ってきた。

 流通経済大柏が優勝候補筆頭たる所以は、前述したとおり、選手層の厚さ、全体レベルの高さだ。昨年からトップチームとセカンドチームが同じ環境で練習をし、そこから毎週末にメンバーが振り分けられてきた。それゆえにセカンドの選手の戦術理解度が非常に高いことが最大の強みだ。

 セカンドチームはトップと同じコンセプトと意思統一ができた上で戦うことができているからこそ、今の順位を維持しているし、セカンドの選手がトップに引き上げられてもエラーを起こすことがなく順応できる。

 例えばGK丸山ジェフリー、2年生の大型ユーティリティーであるメンディーサイモン友、FWオゲデベ有規、スーパールーキーの熊木虎太郎などはプリンスとプレミアを行き来しており、ともにアクセントとなる働きを見せている。

「誰が出てきてもいいようにチームづくりをしています。その中で島谷と増田のダブルキャプテンを中心に選手達自身が考えながらやってくれることはチームのプラスになっている」と榎本雅大監督が目を細めるように、チームは着実に土台を築きつつある。

「インターハイ予選で青森山田が負けるなど、強豪と呼ばれるところが勝ち上がれないこともある。僕らも常に『負ける可能性がある』という気持ちを持って、普段の練習から常に危機感を持って声をかけてやっています。でも、だからと言ってビビっていたら僕らの良さが出なくなるので、いつもの相手を飲み込むような流経柏になるために、練習から積極的かつ熱いプレーを全員がやり続けられる組織にしていきたいと思っています」

 キャプテンで攻守の心臓である島谷が口にした通り、彼らにも慢心の2文字は存在しない。今年初のタイトル、インターハイでは2017年度以来となる3度目の頂点を目指して、彼らは変わらぬ勝負の日常を過ごしながら、平常心で今大会に臨む。

(FOOTBALL ZONE編集部)

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