「いやぁ」進化示した“瞬間”も「まだ6割」 限界の後半…元代表DFが描くW杯へ逆転シナリオ

小川諒也はバー直撃のヘディングを放った
ベルギー1部シント=トロイデンから6月に鹿島アントラーズに加入した元日本代表DF小川諒也が7月5日、J1リーグ第23節の川崎フロンターレ戦で初めてフル出場を果たした。先制しながらも逆転負けを喫し、チームも4戦勝ちなしで首位から4位に転落。「もっと自分自身できたと思いますし、チームとして悔しい結果に終わってしまった」と反省を口にした。
だが前半は収穫の多い45分だった。「前半は相手がそこまで前から来ていなかったので、自分が高い位置を取ろうと思ってやっていた」と振り返ったように、ビルドアップではハーフェーライン付近に位置取り、左サイドの主導権を握った。前半25分の先制点も小川が高い位置を取ったことで、左センターバックのキムテヒョンが、左サイドの空いたスペースまで持ち出し、対角線へフィード。これに抜け出したMF松村優太が中へ折り返し、最後はFWレオセアラが押し込んだ。
ベルギーで進化した姿も見せた。前半37分、右サイドでMF知念慶がボールを奪うと、高い軌道のふんわりとしたクロスを送った。このボールに逆サイドから飛び込み、高い打点で頭で合わせると、シュートはゴール方向へ。だが惜しくもバーに嫌われ、加入後初ゴールはならなかった。「シントでは(もう一列前の)ウィングバックだったので、逆サイドでクロスが上がる時には中に入っていくことが多かったんです。今は4バックですけど、タイミング見て上がっていいよと言われていたので、競り合いに自信もあるんで狙いに行ったんですけど…。いやぁ、やっぱり決めたかったですね」と悔しがった。
結果的にはここで追加点を取れなかったのが響いた。前半アディショナルタイムにMF伊藤達哉のゴールで追いつかれると、後半は川崎のペースに。13分には小川の背後のスペースをFW家長昭博に使われ、逆転ゴールを許した。
小川自身も後半はミスが目立った。昨季ベルギーでは主力として公式戦35試合に出場。約3週間のオフを挟んで鹿島に加入しただけに、コンディションは徐々に上がってはいるが「まだ6割ぐらい」というのが現状。体力的に高い位置を取る回数が減ったことで、チームも押し込まれた。
実力を証明した前半と、コンディションの限界を示した後半。それでも日本代表の森保一監督が「代表でプレーする能力は十分ある」と評価し、日本代表で5試合に出場するなど能力の高さは折り紙付き。2021年6月以来、代表から遠ざかっているとはいえ、サイドバック、ウィングバック、3バックの左でもプレーすることができる。自身も来年の北中米ワールドカップを見据えている。
「これまで(W杯予選では)攻めている時間が長かったので、守備的な選手は選択肢に入ってこなかったと思います。でもW杯では守備の時間が増えると思うので、守備的なサイドバック、ウィングバックが必要になってくる。その時に自分の名前が挙がるように、まずはコンディションを上げなきゃいけない。鹿島で優勝して結果を出していけば、まだ可能性はあると思っています」
逆転でのW杯メンバー入りへ。鹿島と共に、自身も復調していく。