識者予想…日本代表E1初戦“フレッシュ”布陣 初出場8人抜擢、大胆チャレンジも

若手起用を前提に考えれば綱島悠斗の起用も
E-1選手権に向けた日本代表発表記者会見も終わりに近づいた時、大ベテラン記者が森保一監督に質問を投げかけた。
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「今回(選手の顔ぶれが)非常にフレッシュで誰がピッチに立つか想像できないので、現在想定している初戦の11人を教えていただけますか?」
もちろんこれは森保監督が素直に教えてくれると思っているのではなく、監督を笑わせて何かしらのヒントを引き出そうとした上手いくせ球だった。実際、森保監督は笑いながら「システムとしては3バック。最終予選で戦ってきたシステムでスタート」と明かしたのだった。
確かに今回の先発は読みにくい。特に初戦のホンコン・チャイナ戦は各選手がリーグ戦を終えて中2日、しかも練習は2日できると言っても、当然1日にはリカバリーになるだろうから、実質1回の練習だけで試合に臨むことになる。
ただ、日本の対戦相手を考えると、FIFAランク153位のホンコン・チャイナが、94位の中国、23位の韓国よりも戦いやすい相手であろうことは間違いない。森保監督は勝利を収めることを前提にしながらも、思いきっていろいろなチャレンジをするのではないだろうか。
そのため、ホンコン・チャイナ戦は積極的に経験の浅い選手を使ってくるはずだ。もっとも長友に次いで年齢の高い稲垣祥(名古屋グランパス)にしても国際Aマッチの出場数は1試合。そうなると、初出場は別として、ベテランは安定してプレーできるものとして扱われるのではないかと推測した。そうした前提でホンコン・チャイナ戦の先発を考えてみたい。
まずGKは、3人の中で一番若いピサノ・アレクサンドレ幸冬堀尾(名古屋)。シュミット・ダニエルの負傷で回ってきたチャンスを生かした19歳にチャンスを与えるとしたら、この初戦で間違いない。
3バックは、今回選ばれたメンバーで経験を基に考えれば、右から植田直通(鹿島アントラーズ)、荒木隼人(サンフレッチェ広島)、古賀太陽(柏レイソル)になるだろう。だが若手起用を前提に考えれば、一番経験が豊富な植田に代えて、DF陣で一番若い綱島悠斗(東京ヴェルディ)を試してほしいところだ。
ボランチは攻守の核であり、ここはベテランと若手を組み合わせながら手堅くスタートするのではないかと予想した。そのため、稲垣と初招集の宇野禅斗(清水エスパルス)のコンビでスタートし、勝利が揺るぎなくなったところで稲垣を別の選手に代えていくのではないかと想像している。
人材豊富なインサイドハーフ…選手を試す絶好の機会
右アウトサイドは、もっとも若い佐藤龍之介(ファジアーノ岡山)がいいのではないかと思ったのだが、佐藤はすでに日本代表でデビュー済み。そう考えると、ここまで日本代表に呼ばれながら一度も出番をもらえなかった望月ヘンリー海輝(FC町田ゼルビア)にそろそろ出番が来るのではないだろうか。
同じように左アウトサイドを考えると、ずっとベンチ外を強いられてきた長友佑都(FC東京)ということになるのだろうが、すでに長友の実力はみんなが知るところである。3試合の中で最も戦いやすそうな相手に対して投入するような選手ではない。むしろ日韓戦でこそ輝いてほしい人物だ。
となると、このポジションは俵積田晃太(FC東京)か相馬勇紀(町田)、中村草太(広島)ということになるのだが、俵積田が6月のワールドカップ(W杯)アジア最終(3次)予選でチャンスをもらったことを考えると、相馬または中村。W杯経験者の相馬をここで使うことはないだろう。中村のデビューが見られるのではないか。
インサイドハーフは人材豊富だということを考えると、ホンコン・チャイナ戦は代表経験のない選手を試す絶好の機会になる。思い切って川﨑颯太(京都サンガF.C.)、大関友翔(川崎フロンターレ)という組み合わせで試すのもいいだろう。
もっとも大関は今シーズン第22節までに15試合出場しているものの、先発は2回だけ。あとはすべて途中出場となっている。森保監督は「AFCチャンピオンズリーグエリートでの川崎の素晴らしい戦いのなかで、彼もレギュラーの1人として高いパフォーマンスを発揮していた」と評価しての招集となったが、リーグでの出場時間が少ないのは不安材料であることは間違いない。
そのため、初選出の宮代大聖(ヴィッセル神戸)をインサイドハーフに使うのはどうだろうか。そして1トップにはフィールドプレーヤーの中で2番目に背の高い垣田裕暉(柏)をデビューさせるのがいいのではないか。宮代と垣田は2021年に徳島ヴォルティスで、2022年にはサガン鳥栖でチームメイトだったこともあり、コンビネーションも期待できるはずだ。
先発11人のうち、初出場が8人。11人の国際Aマッチ出場試合数合計が3。森保監督はここまでの冒険をしない気もするが、こういう選考のなかで活躍すれば、その後のメンバーに残っていく確率は高くなるはずだ。

森 雅史
もり・まさふみ/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。




















