ハーフナー氏が“古巣”を憂慮「ハマっている」 キャンプで同部屋…新指揮官に期待「いつでも冷静」

【専門家の目|ハーフナー・マイク】2006年に横浜FMユースからトップチームに昇格した
かつてヴァンフォーレ甲府などで活躍し、オランダ1部リーグで通算51得点を挙げた元日本代表FWハーフナー・マイク氏が、古巣の横浜F・マリノスにエールを送った。横浜FMはハーフナー氏が2006年にプロキャリアをスタートしたクラブで、先月に就任した大島秀夫監督とは同部屋だったこともある。新指揮官の“冷静さ”によって、チームが自信を取り戻すことを期待した。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・井上信太郎)
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J屈指の名門が苦しんでいる。スティーブ・ホーランド元監督、パトリック・キスノーボ前監督が退任し、大島監督が就任した横浜FM。Jリーグ創設当時からのオリジナル10の中で、鹿島アントラーズと共に一度も降格を経験したことのないクラブが、第22節を終了して最下位に沈んでいる。
「僕もOBなので、やっぱりマリノスの結果を追ってしまいますね。大丈夫かなと。これまでも残留争いしたことはありましたけど、落ちる気がしなかった。でも今は負の連鎖にハマっているというか、悪い流れのまま前半戦が終わってしまった。大島さんが監督になって、後半戦でどう取り返していくのか期待したいですよね」
大島監督とは現役時代、マリノスで共にプレーした。ハーフナー氏がプロ2年目だった2007年にはキャンプで同部屋だったこともある。同じ大型ストライカーだったこともあり、ポストプレーなどアドバイスを受けた。
「ポストプレーが得意で、すごいボールが収まるFWでしたよね。もう常に落ち着いているし、表情には焦りとかあまり出さないタイプの方なので。監督としてはまた別かもしれないですけど、いつでも冷静なので、状況分析などもしっかりできると思います。マリノスへの思いもある方なので、選手、スタッフが一体となって、いい方向に持っていけるのではないかなと思います」
ハーフナー氏がオランダ1部ADOデン・ハーグに所属していた2016-2017シーズン、チームは21節終了時点で、昇降格プレーオフにまわる16位と低迷していた。だが2月にアルフォンス・フルネンダデイク新監督が就任すると、チームの現状を冷静に分析し、立て直しに成功。ハーフナー氏も2月までは3得点だったが、3月以降に6得点をマーク。最終的に11位まで浮上した。
「やっぱり残留争いしていると、選手たちは『何とかしよう』と焦ってしまう。そういう状況の中、冷静に分析して、ここが原因だから、こうやって改善して、みんなで乗り越えていこう、という感じで話してくれて、チームが落ち着いたんです。選手ともよく喋ってくれたのでチームも一体になりましたし、監督でこんなに変わるんだなとは思いましたね」
フルネンダデイク監督のように、大島監督の“冷静さ”が残留に向けて大きな助けになると見る。J1リーグは現在22節まで終了し、残りは16試合。残留圏内の17位・湘南ベルマーレとは勝ち点8差で、まだまだ巻き返せる状況にある。今週末を終えれば2週間の中断もあり、大島監督が立て直す時間もある。
「残留争いはもちろんパッションも必要なんですけど、気持ちは毎回入っているんですけど、それが空回りして、どんどん自信を失っていく。だからこそ、秀夫さんの冷静な所がチームのみんなにも伝われば、自信を取り戻せるはず。メンバーは間違いなくいるので、この局面を絶対乗り越えられるはずだと思います」
(FOOTBALL ZONE編集部・井上信太郎 / Shintaro Inoue)

ハーフナー・マイク
ハーフナー・マイク/1987年5月20日生まれ、広島県広島市出身。2006年に横浜F・マリノスの下部組織から昇格。福岡、鳥栖への期限付き移籍を経て、2010年に甲府に完全移籍。2011年にJ1で日本人トップの17得点を挙げ、日本代表に初選出。2012年1月にオランダ1部フィテッセに移籍。スペイン1部コルドバ、フィンランド1部ヘルシンキを経て、15-16シーズンはオランダ1部デン・ハーグに加入し、16得点を記録。その後は神戸や仙台などを経て、2022年に現役引退。日本代表は通算18試合4得点。現在はJ2甲府のクラブアンバサダーに就任し、ホームタウン活動やスクールコーチを務めている。