開幕3か月で出場0→25年ぶり白星の立役者へ ”不断の努力”に監督も感銘「追加練習も一番やっていた」

東京VのMF深澤大輝が決勝弾
90分間で唯一のゴールを決めた男の苦労を指揮官は、静かに振り返った。東京ヴェルディは2025年6月29日に行われたJ1リーグ第22節の川崎フロンターレ戦に1-0で勝利した。この試合で唯一のゴールを決めたのが、MF深澤大輝だった。
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今シーズン、深澤は第15節の横浜FC戦(2-0)まで出場機会がなかった。横浜FC戦の出場も本職のサイドではなく、負傷者が続出したセンターバックでの起用だった。そこで完封という結果を出して出場機会を増やしていき、前節のC大阪戦から本職のサイドで先発出場していた。
川崎戦の前半32分、MF森田晃樹のCKをDF谷口栄斗がすらせたボールを右足で深澤が合わせてゴールを決めた。このゴールを守り切った東京Vが4試合ぶりの勝利を挙げて勝ち点を27に伸ばした。
自身のJ1初ゴールについて「入る前にニアに蹴るというのを決めて、栄斗が一番前で僕が4番目と場所は決まっていて『逸らすから』と言われていました。本当に狙い通り。シュートは難しかったですけど、狙い通りにできたぶん、決められました」と深澤はチームとしての狙いを体現できたと胸を張り、「やっぱりこうやってピッチに立ってピッチに立ってチームの勝利に貢献できるのは最高」と笑顔を見せた。
東京Vは決して大柄な選手がそろっているわけではない。フィールドプレーヤーで180センチを越えるのは、DF綱島悠斗と谷口の2人だけだ。それでも、この試合ではキックオフを含め、セットプレーで相手を上回ろうと取り組んできたことが強く出ていた。
「今週の練習がすごく生きた」という深澤は「栄斗とか、ツナの高さを生かすために大きくない選手のブロックだったりは、かなり緻密にやっていますし、入る場所、蹴る場所を、事前により細かく決めています。晃樹のキックのフィーリングも今日はすごく良かったですし、その準備を今回は前日からやっていて、今日はその準備のところでより優位に立てたと思います」と、成果を口にした。
若手にも真摯に練習をする重要性を伝える役割を託されていた
そして誰より深澤がゴールを決めたことの価値を、噛み締めていたのは城福浩監督だろう。「深澤大輝は、つい1、2か月まではエクストラで、ものすごく悔しい思いをしていた。でも、一番、ヒザをつきながらも練習後の追加練習も一番やっていた。そういう選手が点を取った」と、試合後の会見で背番号2がピッチで結果を出した背景には、不断の努力があったと説明した。
試合に出られなかった時期の努力が、今も生きていると深澤も頷く。「メンバー外になるのはサッカー選手としては一番悔しいこと。ピッチに立てないと自分に腹が立つし、練習に身が入らない選手もいると思います。でも、置かれた環境でどれだけ成長できるかは、自分自身にずっと問いかけていた部分でもある。試合に出たら絶対にやってやると思っていたなかで、横浜FC戦からああいうふうにチャンスが回ってきて、ピッチに立ったら1試合1試合自分のすべてをぶつけるというふうに1試合にかける思いは、今年、特に強くなっている。その辺はメンバー外の時の練習からの経験が生きていると思います」。
試合に出られていない時期に努力していた姿を見ていたのは、監督だけではない。若いチームのなかで26歳の深澤は、若手にも真摯に練習をする重要性を伝える役割を託されていたという。
「試合に出られていない時に森下(仁志)コーチから『おまえが若手に背中で見せてやれ』ということは練習から言われていました。今日はJリーグの舞台で見せられましたが、このチームは誰か一人の力に頼るチームではないし、全員で練習から良い準備をする。仮想の相手になる役割を全うしてくれるチームメイトがいて、本当に今週は良い練習ができていましたし、今日は僕がこうやって点を決めましたが、次は誰が出て、点を取るかわからない。良い競争をして、良い循環を作っていけたらと思います」
この日の深澤を見て、勇気づけられた緑の選手がいるはず。J1に戻って2年目。決して選手層は厚くなく、順位表では昨季よりも低い位置にいる東京Vだが、このチームのあるべき姿を示せる2000年以来、25年ぶりの川崎からの勝利となった。



















