CBとFWの二刀流…身長187cmのU-17日本代表 強豪校での葛藤「絶対どこかでチャンスが」

流通経済大柏のメンディーサイモン友「11月のU-17W杯出場、その先のプロ」
CBとFWの二刀流。流通経済大柏のU-17日本代表・メンディーサイモン友(2年生)は今、この2つのポジションで殻を破ろうとしている。
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セネガルとギニアにルーツを持つ父と日本人の母を持つ彼は、187センチのサイズを持ち、抜群のバネを駆使したヘッドと瞬発力、そして対人の強さを持つCBとしてU-17日本代表に選出され、今年4月のU17アジアカップ(サウジアラビア)に出場をした。
だが、帰国後はチームにおいてサイドハーフやFWとして起用されることが増えた。
「正直、FWの動きについては最初、どうして良いか分からなかったのですが、エノさん(榎本雅大監督)や山根(巌コーチ)さんも僕のポテンシャルに期待をして、前で使ってくれていると思っているので、自分がCBのときにやられて嫌な動きをするなど、それに応えられるように考えてトライしようと思っています」
ポジティブに捉えてこのコンバートを受け入れているが、彼の置かれている立場は難しいものだった。1試合も出場できなかったU17アジアカップから帰国後、彼はレギュラーを勝ち取れなかった。
プレミアリーグEASTにおいて、開幕負けなしでスタートダッシュを切ったトップチーム。CBもFWも戦力が充実しており、彼はプリンスリーグ関東2部に所属するセカンドチームのFWをメインにしながら、プレミアでベンチ入りをして途中出場でチームの流れを変える存在だった。
「サウジアラビアにいるときも、プレミアもプリンスも好調で首位を走っていたので、『調子いいな、頑張らないとスタメンには戻れないな』と覚悟していました。なので『もう一度這い上がる』と思ってやっています。でも、正直悔しい思いはあります」
強豪校ならではの競争の厳しさと素直な自分の気持ちに葛藤することもあった。だが、そのときに尊敬する1学年上の先輩であるGK丸山ジェフリーの姿勢が彼を奮い立たせた。丸山もまた、昨年、年代別日本代表に選出される存在だったが、今年はトップではセカンドGKで、セカンドチームの守護神としてプレーしていた。
「ジェフリーさんが凄いのは、一切気持ちが落ちていないというか、よりチームのために前向きにやっていること。それに対して僕は帰国してから、2試合トップの試合に出られなかったときにすごく悔しくて、『何で俺を使ってくれないんだ!』と思ってしまうこともあった。でも、不貞腐れずにセカンドチームできっちりと結果を出し続けるジェフリーさんの姿を見て、『大人だな』と思いましたし、僕もセカンドできちんと結果を残して、周りを納得させた上でプレミアのレギュラーに戻りたいと思えました」
同じ境遇で、かつ最終学年の3年生である丸山の立ち振る舞いを見て、我に返った。
「絶対にどこかで僕にチャンスが巡ってくると思っているので、チャンスを掴み損ねないように頑張ろうと思っています」
プリンス関東2部・第8節の西武台戦。彼は久しぶりにCBとしてスタメン出場を果たすと、その左腕にはキャプテンマークが巻かれていた。
「メンディーには精神的にも成長してほしいし、期待を込めて」と榎本監督のメッセージを受け取った彼は、立ち上がりから大きな声で仲間を鼓舞して存在感を示した。だが、チームは苦戦を強いられ、1-1で迎えた後半10分に相手に退場者が出て、数的優位に立つも同21分に相手のエースである太田和希にドリブルシュートを叩き込まれた。
「失点はCBの責任。1失点目は僕とサイドバックで声を掛け合えていれば防げた。2失点目も相手FWに対して、味方が寄せに行った姿を見ていなくて、裏に出されて突破されてしまった。追いつけなかったことが悔しかった。でも、失点してしまったものは取り返せないし、キャプテンである以上、信頼されないといけない存在だし、苦しい時に一番声を出さないといけない存在なので、自分をもう一度奮い立たせました」
下を向くことなく声を出し、逆転された後にFWにポジションを移すと、身体を張ったポストプレーと、「相手CBにとって嫌なことをやり続ける」と前線からのプレスや裏抜けを狙って流れを引き寄せた。後半39分にFWオゲデベ有規が同点弾を叩き込むと、同43分にCKからMF渡辺瞳也が押し込んで逆転。すると再びCBにポジションを戻し、カウンター阻止とビルドアップに集中力を研ぎ澄ませ、そのまま3-2の勝利を手にした。
「難しい試合のなかで(CBとFWの)両方やれたのはいい経験になりました。FWで取り返す気持ちで上がっていって、勝ち越して後ろになったら『もう何がなんでもやらせない』という気持ちでやれました。精神的にもキャプテンという存在の大切さ、チームを引っ張ることの重要性を学べたのは大きかったと思います」
与えられた場所で咲く。その積み重ねの先には、大きく成長して咲く場所を選べる存在になれる可能性がある。
「やるべきことをやらないと望んだものは掴めない。僕はレギュラーを掴むこと、11月のU-17W杯出場、その先のプロと目標があるからこそ、直向きにやらないといけないと思っています」
謙虚さのなかにあふれ出る野心を燃やして。メンディーサイモン友はトップでもセカンドでも、FWでもCBでも、自分の持てる力の最大限を発揮する準備をし続ける。それが彼の信念でもある。
(FOOTBALL ZONE編集部)




















