J1リーグは欧州5大リーグより激戦? データが示す格差と「勝ちにくさ」の正体

試合消化数でばらつきが見られるJ1、折り返しの“19試合消化”で検証
2025シーズンのJ1リーグ第20節を終えて、やっとすべてのJ1チームが折り返しを迎えた。
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全38節で行われている今年のJリーグだが、J2リーグ、J3リーグが非常に分かりやすい順位表になっているのに対し、J1リーグは順位を鵜呑みにできない状況になっている。というのも、アジアチャンピオンズリーグやクラブ・ワールドカップの関係で試合消化が進んでいるチームとそうでないチームが混在しているのだ。
そのため、19試合を消化した時点で比べないと本当のJ1チームの姿は見えてこない。それぞれのチームが19試合を消化した時点でどうだったのかを算出してみた。節ではなく消化試合数で評価するため、すでに20試合消化したチームは直近の1試合の結果を除外して考察する。
すると、次の順位表になった。1位・鹿島アントラーズと2位・柏レイソルの勝ち点差は6。これは2024年第19節を終えた時点で、1位・FC町田ゼルビアの勝ち点が39、2位・鹿島と3位・ガンバ大阪の勝ち点が37だったことを考えると、それよりも開いている。もっとも、昨季優勝したヴィッセル神戸は第19節を終えて勝ち点33と今の鹿島・柏の差と同じだった。つまり柏にも十分優勝するチャンスがあると言えるだろう。
また、2024年J1で19試合を終えて16位・ジュビロ磐田、17位・サガン鳥栖、18位・湘南ベルマーレ、19位・京都サンガF.C.、20位・北海道コンサドーレ札幌だったなか、最終的に降格したのは磐田、札幌、鳥栖だった。つまり、まだ下位の順位の大幅変動は考えられる。また、現在最下位の横浜F・マリノスは勝ち点14だが、2024年は第19節終了時で19位の京都が勝ち点14だった点を踏まえると、横浜FMにはまだまだチャンスがあると言えるだろう。
一方で、現在の順位表と19試合を終えた時点での順位で一番違っているのがアビスパ福岡。20節終了時の順位表では11位だが、同じ19試合にして計算すると15位になる。降格圏も迫ってくる順位ということで、後半戦の立て直しが必要だ。

得点が取りにくく、勝ちにくいJ1リーグの優勝ラインと残留ラインは?
昨季19試合を終えた時点で、最も得点数が多かったのはサンフレッチェ広島の35得点。最も失点数が少なかったのはG大阪の14失点。今年は最多得点が川崎フロンターレの31得点、最少失点が鹿島と広島の15失点と、やや得点数が少ない。全体でも19試合を終えて2024年は503ゴールが生まれていたが、今年は428ゴールと減少している。それだけ今年は得点が取りにくくなっているということだ。
1位と20位の勝ち点を去年と比較すると、ほとんど変わっていない。ということは、2024年に優勝した神戸の勝ち点が72だったのと同じように、今年も優勝ラインは勝ち点70を少し上回るくらいか。これはJ1リーグが18チーム構成だった頃に言われていた、「優勝ライン=試合数×2+α」を下回る。それだけ「勝ちにくい」、つまり上下の差が大きく開いていないと言えるだろう。
ちなみに、2024-25シーズンのプレミアリーグ(イングランド・20チーム構成)は、優勝したリバプールの勝ち点84、20位のサウサンプトンは勝ち点12。ラ・リーガ(スペイン・20チーム構成)は優勝したFCバルセロナが同88、20位のバジャドリーが同16、セリエA(イタリア・20チーム構成)は優勝したナポリが同82、20位のモンツァは同18。ヨーロッパ5大リーグで20チーム構成のリーグでは、Jリーグよりもクラブ間格差が大きい。
優勝ラインと同じように、今年の残留ラインは去年17位だった柏が勝ち点41だったことから、同程度を考えておいたほうがいいだろう。横浜FMは残り19試合で勝ち点27を奪うことを残留の条件と考えたほうがいい。もっとも、横浜FMの選手層を見ていると簡単に達成できそうにも思える。
横浜FMにとって今後気を付けるべきは、選手の移籍だ。例えば2024年、鳥栖は7月以降、同じJ1に4人、イングランドに1人移籍した。移籍後すぐに相手チームで出場してきた選手もいるなど、プロの弱肉強食の世界が繰り広げられた。
横浜FMという名門クラブで同じようなことが起きるとは思えないが、シーズン2回目の監督交代はそれだけでも異常事態。団結を高めなければいけない時が来ている。

森 雅史
もり・まさふみ/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。




















