プロ1年目→JFLの環境は「そういうものなんだな」 出会った3人の名監督…移籍先で掴み取った信頼「色をつけてくれた」

白井康介がこれまでのキャリアにおける3つのターニングポイントを明かした
2013年に高卒で湘南ベルマーレに加入し、期限付き移籍先の福島ユナイテッドFCでキャリアをスタートさせたDF白井康介。当時JFLの福島から、J2、J1へと上り詰めた31歳にとって印象的だった3つのターニングポイントと、Jリーグでも色の濃い監督たちと過ごしてきた日々について聞いた。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部 上原拓真/全3回中の第3回)
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プロ1年目を当時JFLの福島ユナイテッドFCで過ごした白井。当時のJFLの環境については、意外にも「そういうものなんだな」という感覚だったという。湘南の練習参加した時と比べながらも、「自分のことで精一杯だったので。何が足りていないというのはなかったと思う」と自分自身とがむしゃらに向き合った日々を振り返る。
福島では1年間で30試合以上に出場したなかで、翌年に湘南へ復帰。しかし、湘南では「自分のなかでは良くなっている」と成長を感じつつも、出場機会を得られない日々が続いた。そのなかで、自身のキャリアのなかでターニングポイントの1つ目となった愛媛FCへの移籍が実現する。
2015年の夏頃、湘南での契約も残り半年となり、先のサッカー人生に不安を感じていた頃だった。愛媛で負傷者が出たため、シーズン後半に向けて穴埋めを探していたところ、とある練習試合で白井の活躍が認められ、愛媛への期限付き移籍が決まった。
当時の愛媛を率いたのは、現在ファジアーノ岡山で指揮を取る木山隆之監督。移籍してすぐに出場機会を得ると、翌2016年から完全移籍に切り替わり主力として活躍。16年、17年とリーグ戦40試合以上に出場するなかで、木山監督からの信頼を感じつつ、「信頼に応えよう、というメンタリティにもなっていきました」と話す。
「木山さんは移籍して、すぐに試合に使ってもらって。信頼してもらっているなかで、信頼に応えようっていうメンタリティにもなっていきました。今まで積み上げてきたことが好転してきた感じでした」
そんななか、18年からはミシャことミハイロ・ペドロヴィッチ氏が指揮を取る北海道コンサドーレ札幌へ完全移籍。ミシャ監督のサッカーに慣れた2年目から出場機会を掴み、Jリーグファンの間でも記憶に残る19年、川崎フロンターレとのルヴァンカップ決勝戦にも出場した。
そして、ミシャ監督の下でプレーをするなかで、2つ目のターニングポイントとなる出来事が起きる。左サイドの主力だったFW菅大輝がコパ・アメリカに臨むA代表に選出され、白井はその不在を感じさせないようなプレーを見せた。当時は出場機会もなかなか得られずに「移籍も考えていた」と話したとおり、”ラストチャンス”で自らが納得のいくプレーをすることができた。ミシャ監督からの信頼も感じられた瞬間でもあったという。

札幌で充実感も感じながら、新たな挑戦を選択
札幌で成長を積み、21年には当時J2だった京都サンガF.C.へ完全移籍し、新天地で3つ目のターニングポイントを迎える。「(札幌に)残る選択肢も全然あったんですけど、やっぱりサイドバック(SB)として、もう1回やってみたいと思って」。ここでは湘南時代から知る曹貴裁監督の下、右SBという新たなポジションに挑戦する。
再会した曹監督からは「お前は足元でどうこうするタイプじゃないから。とにかく走れ」とプレーでの指摘を受け、自身のストロングでもある”走力”を磨くきっかけになった。「自分のストロングだった部分にさらに色をつけてくれた」と、京都に所属した2年間でSBとしての新しい選手像を確立した。
「今まで、湘南に行って、愛媛へ行って、札幌のサッカーをやって、自分の強みと弱みが見えてくるなかで、SBという新しいポジションに挑戦して。(自分の)意図を汲み取ってくれて、自分をそういう選手に磨き上げてくれたのが曹さんだったと思います」
京都に加入した1年目はJ2リーグで32試合に出場し、J1復帰に貢献。J1に昇格した2022年もリーグ戦33試合に出場し、チームの中心としてプレーをした。そのなかで、2023年の夏に移籍を決断する。
これまで、Jリーグでも名だたる3人の指揮官から信頼を掴み取ったサイドのスペシャリストが、FC東京へ移籍し、3年目の今思うのは「楽しくやれている」ということ。これまでのキャリアで常に挑戦することと、変化することを選び続けてきた白井だからこそ、今置かれている立場で「ポジティブに色々チャレンジするのが楽しくてやってます」とFC東京での現在地を見つめていた。
(FOOTBALL ZONE編集部・上原拓真 / Takuma Uehara)