森保監督、佐野海舟の招集に言及「常に選択肢」 1年超未招集も…求める“東京世代”超え「想像できています」

日本代表を率いる森保一監督【写真:徳原隆元】
日本代表を率いる森保一監督【写真:徳原隆元】

中心を担う東京五輪世代「彼らが選ばせている」

「日本サッカーの未来を考える」を新コンセプトに掲げる「FOOTBALL ZONE」では、日本代表・森保一監督のインタビューを随時配信していく。2026年の北中米ワールドカップ(W杯)で日本史上初の優勝を目指す指揮官が、東京五輪世代の驚くべき成長、そしてドイツ1部マインツで印象的な活躍を見せたMF佐野海舟について語った。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・井上信太郎)

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 東京五輪を目指すチームの監督に就任したのは、2017年10月。最初の活動となったのは、その2か月後にタイで行われたM-150杯だった。当時大学生だった三笘薫や上田綺世、旗手怜央らをメンバーに選んだ。そこからの7年半で彼らは飛躍的な成長を遂げ、今や代表の中心を担うようになった。

「選手の努力には本当に尊敬の念しかないですよね。彼らは自分を成長させるために、チームや日本が勝つために最大の努力をしているので、本当に敬意を表したいなと思います。あの時のことは今でも覚えていますが、大学関係者の方に聞いたら薫と綺世、旗手の名前が出てきて。綺世を最初に見に行ったのは大学の練習場でしたね。あの大会はU-20W杯に出ていない選手たちで編成しようと思っていて、(U-20日本代表の監督を務めた)内山篤さんにラージグループを教えてくださいと情報をいただいたり、大学関係者の方にこういう選手がいると教えていただいたり。そう考えると、本当に日本人のサッカー界のつながりで活動させてもらっているんだなと思いますね」

 東京五輪世代の選手が多い現在のチームは、強力なメンバーが集まっており、若手が入り込むには高い壁となっている。「新戦力を試すべき」という声は、当然指揮官の耳にも届いている。だが誰よりもマンネリ化を懸念し、変化しようとトライしてきたのは指揮官自身だ。

「メディアの方々や周りの方々からも言われたりするんですが、これはスタッフミーティングでも議論になるんです。ニュートラルに見ているつもりですし、常に変化しようとずっとトライをしながらきています。特に東京五輪世代はずっと見てきているので、凝り固まっているところがあるかもしれないと、より自分自身を疑いながら見ていくことはやっているんです。ただ僕自身は、僕らが選んでいるというよりは、彼らがずっと“選ばせるパフォーマンスを見せてくれている”と思っているので。逆に言えば、本当に彼らを飛び越える選手がいたら、常に入れていると思います。3次予選(最終予選)ではそこまでチャレンジしていないかもしれないですが、2次予選までは間違いなくやってきました」

 第2次森保ジャパンでは今年3月までの2年半の活動で、59人を招集している。カタール大会からメンバーが固定されている印象が強いが、着々とラージグループも広げてきた。7月の東アジアE-1選手権には国内組を中心にしたメンバー編成で臨むことを考えると、さらに人数は増えることになる。

「自分が東京世代を特別に見ているのか、それとも彼らがずっと認めさせて掴み取ってきているか、というのはすごく悩みますね。これはどっちなんだろうと。ただ替えることでよく競争を煽ると言われるなか、煽らなくてもここまで成長してきたから、彼らは今代表にいるのだと思います」

今季マインツで圧倒的なパフォーマンスを見せた佐野海舟【写真:ロイター】
今季マインツで圧倒的なパフォーマンスを見せた佐野海舟【写真:ロイター】

佐野海舟の招集は「チームの状態を見ながら考えたい」

 アジア最終予選では圧倒的な強さを見せ、3月に本大会の出場権を獲得した。1年後に迫ったW杯本番に向けて、6月からの代表活動では、これまで代表で出番を与えられなかった選手や、新戦力をより試しやすくなる。ブンデスリーガで日々高いパフォーマンスを続けるMF佐野海舟もその1人となる。

「常に選択肢に入っています。戦力となりうるだけの、チームの一員として加えさせてもらうだけのパフォーマンスは発揮してくれていると思います。チームの状態と環境を見ながら(招集を)考えていきたいと思います」

 昨夏に鹿島アントラーズからドイツ1部マインツに完全移籍。自身初の海外移籍ながら、全34試合にスタメン出場を果たし、昨季13位だったチームを6位に躍進させる“原動力”となった。日本代表への参加は昨年1〜2月にカタールで行われたアジアカップを最後に1年以上遠ざかっているが、欧州に渡ってからの佐野のパフォーマンスは指揮官の目にどう見えているのか。

「やはり中盤でボールを奪い取れる力が、よりついたなと思います。相手のボールを奪って攻撃につなげる、相手にプレッシャーを掛けるという彼の良さは(代表でも)生かせるのかなと思います。海舟もこれまでに呼んでいるので大丈夫です。あの時からレベルアップはもちろんしていますが、そこは映像もずっと見ていますし、想像できています。いつも選択肢に持っていますし、招集するタイミングを考えたいなと思います」

 成長を遂げた東京世代をはじめ、たくましさを増した今の日本代表。チームをさらに昇華させる存在の出現を、誰よりも指揮官が待ち望んでいる。

「可能性がある選手をもっと見てみたいという思いは、間違いなくあります」

 本大会まで1年あまり。W杯優勝を目指す“最強のチーム”を作り上げていく。

(FOOTBALL ZONE編集部・井上信太郎 / Shintaro Inoue)



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