父は元Jリーガー「尊敬している」 親譲りの美しいキック…直接指導で急成長の逸材2世

前橋育英の松下歩夢【写真:FOOTBALL ZONE編集部】
前橋育英の松下歩夢【写真:FOOTBALL ZONE編集部】

前橋育英の松下歩夢、父親は元Jリーガーで同校コーチを務める松下裕樹

 プリンスリーグ関東2部・第6節、前橋育英Bは桐光学園をホームに迎えると、0-2から一挙4ゴールで試合をひっくり返し、相手の反撃を1点に抑えて4-3で開幕戦以来、5試合ぶりの今季2勝目を挙げた。この試合で1ゴール2アシストの活躍を見せたのが、3-4-2-1のインサイドハーフに入った2年生MF松下歩夢だ。

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 正確無比な右足のキックを操る彼は、左CKを蹴る際にゴール後方から吹く強風を計算して、右足アウトフロントでボールを強く叩くことで風に煽られることなく真っ直ぐに伸びていくボールを蹴り込んで、反撃の狼煙となる後半17分のDF深見翔太と逆転ゴールとなる同34分のFW山西智也のヘッドをアシスト。

 同43分にはMF韮澤海成のPKがGKにストップされるも、「こぼれてくると思って詰めた」と猛然とゴールにダッシュし、豪快にこぼれ球を蹴り込んだ。

「プレミアで出られなくて、セカンドで絶対に結果を残そうと思って挑みました」

 彼にとってこの試合は、今季プリンス初出場だった。開幕からトップチームに入り、プレミアリーグEASTでベンチ入りを果たした。しかし、4節まで全てベンチ入りするも、竹ノ谷優駕と柴野快仁のダブルボランチ、トップ下の平林尊琉と選手権優勝の立役者となったメンバーの壁は分厚く、出番は来ないまま第5節の市立船橋戦からはベンチ外となった。

「試合に出たかったのですが、外から見ていても強度という部分でフィジカル的にもスピード感的にも足りていないと思いました。悔しかったですが、セカンドチームでしっかりとベースを身につけてやろうと思えましたし、プリンスにかける思いは強くなりました」

 この厳しい競争は覚悟の上だった。JFAアカデミー福島U-15から、かつてサンフレッチェ広島、アビスパ福岡、横浜FC、ザスパ群馬などでボランチとして活躍をした父・松下裕樹がコーチを務める前橋育英の門を叩いた。

「前橋育英は父の母校でもありますが、シンプルに地元で小さい頃から見てきた育英のサッカーが大好きでしたし、プレミアで戦っているレベルの高い環境でやりたかったので進みました。育英には歴代を見ても優秀なボランチがたくさんいますし、僕は下からのスタートだと覚悟をしていたからこそ、レベルの高い選手たちからどれだけ試合や練習などでプレーや姿勢を見習って、工夫をして、自分を高められるかどうかで、自分の将来は決まってくると思ってやっています」

 父から直接指導を受けながら、彼は竹ノ谷や柴野などのプレーを観察し、分析をしながら自分のプレーに落とし込んでいる。だからこそ、彼のプレーを見ると、技術や判断ベースがしっかりとしていて、周りを見て状況把握をした上で冷静にプレー選択をするゲームメーカーとしての能力の高さを感じ取れる。そして右足のキックの種類の多さと精度の高さ、フォームの美しさはまさに父譲りだ。

 ただ、目の前にそびえ立つ壁は高い。その壁の前で登って超えていくための努力を積み重ねながら、闘争心をどんどん燃え上がらせている。

「プレミアとプリンス関東2部を戦えることは本当に幸せなことですし、自分の成長がチームの底上げにもつながる。父の指導も尊敬している指導者なので、うまくなると感じていますし、前橋育英の日常は本当に自分をレベルアップさせてくれると思っています」

 この道を選んで心から良かったと思うからこそ、前橋育英での日々を1日たりとも無駄にしない。桐光学園戦で見せた躍動は、彼のこれからへの決意の表れであり、意地でもあった――。

(FOOTBALL ZONE編集部)

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