6、7番手→守護神へ…立ち幅跳び280cm“驚異の跳躍力” スター軍団の熾烈な内部競争

流通経済大柏の藤田泰土【写真:FOOTBALL ZONE編集部 】
流通経済大柏の藤田泰土【写真:FOOTBALL ZONE編集部 】

流通経済大柏の藤田泰土「『いつでも控えているぞ』と感じるので怖さも」

 現在、プレミアリーグEASTにおいてトップチームが、プリンスリーグ関東2部においてセカンドチームがともに首位を走るという快挙を続けている流通経済大柏。

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 以前、セカンドチームのGK丸山ジェフリーを取り上げたが、現在、トップチームの守護神に君臨する3年生GK藤田泰土に話を聞くと、改めて日本でトップレベルのチームの内部で繰り広げられる激しいポジション争いとそこに身を置く精神的なタフさ、そして藤田自身の努力の跡をヒシヒシと感じた。

「1試合1試合、常に自分の100%を出さないとジェフリーなどがいるので必死にやらないといけないと思っています」

 まず彼は今の地位を安泰だとは決して思っていない。そもそも昨年、藤田はプレミアEASTにおいて6、7番手に位置するGKだった。必死でトップチームを目指すなかで、同い年の丸山はプレミアEASTで3試合にスタメン出場を果たすと、11月にはU-17日本代表に選ばれた。

「正直、ポテンシャルは凄いものがあるし、先を行かれたと思いました」

 その一方で丸山はトップの正GKの座を掴みきれなかった。1学年上の松本陸と加藤慶太もハイレベルなGKで、夏まで守護神だった加藤のポジションを丸山が掴んだが、すぐに松本が奪い、選手権では再び加藤がポジションを奪い返した。

「2人とも下級生には奪われないという気迫も凄かったですし、加藤さんがベンチに回ったときに、一切腐ることなく地道に練習に打ち込んでいる姿を見たときは本当に刺激になりました。『僕もどんなことがあってもコツコツとやれる選手になりたい』と思って練習に対する意識もより変わりました」

 同級生と先輩たちに刺激をされて、「多くのレベルの高いGKがいるなかで、自分の武器は何かを考え続けました。その中で自分のサイズ(187センチ)とバネ(立ち幅跳び280センチ)を活かしたハイボールやセービング、俊敏性を伸ばしていこうと目的意識を持って取り組んだ」結果、プレミアEASTで一度もベンチ入りできなかった藤田が、一気に序列を覆して選手権でセカンドGKとして全試合ベンチ入りを果たしたのだ。

「最初に選手権メンバーに入ったときは4番手だったのですが、そのメンバーで合宿に行ったときに練習試合にも最後の方に出させてもらって、全力を尽くしたらセカンドとしてベンチに入ることになって自分でも正直驚きました」

 最初は入れたことに驚きと喜びを感じたが、選手権の快進撃をベンチで見つめるなかで、出番が訪れない状況に悔しさがこみ上げてきた。

「加藤さんが選手権で試合を重ねる度に自信がついてどんどん成長をしていく姿を目の当たりにして、自分もそうならないといけないと強く感じました。もちろんどの試合も加藤さんを信じる気持ちは強かったのですが、ベンチ入りしたことで『チャンスが来るかも』と思っていたなかで、なかなか出番がこない自分の力不足を痛感する日々でした」

 そして前橋育英との決勝戦。6万人もの観衆で包み込まれた国立の決勝のピッチに立てた同級生は途中出場の安藤晃希の1人だけで、対する前橋育英は多くの2年生が躍動し、優勝をさらっていく姿を目の当たりにした。

「本当に悔しかったし、『来年は絶対に勝ちたい』という気持ちと、スタメンを取りたいという気持ちが一気に強くなりました。去年、先輩たちが残してくれた準優勝という結果に対する恩返しとして、僕らの代が優勝という2文字に変えられたらなと思ってプレーしようと決めました」

 今年、安定したセービングとキャッチングに加え、ピンチにも動じないメンタリティーをベースにスタメンの座を掴み取った。プレミアEASTの開幕戦でプレミアデビューを果たすと、第5節には前橋育英とのリベンジマッチに臨み、1-1のドロー決着。ここまでの6試合全試合にフル出場し、首位快走の立役者となっている。

「今、こうしてチャンスをもらうことができてトップでプレーができていますが、やはりジェフリーの存在は常に気になります。プリンスで結果を出していますし、『いつでも控えているぞ』と感じるので怖さもありますが、彼は本当にポテンシャルがかなりある選手としてリスペクトをしているので、絶対に努力という面では負けないようにしたいです。もし仮に今後、僕がレギュラーの座を外れたとしても、去年の加藤さんのように腐らず、地道に努力を積み重ねていく姿は絶対に見習わないといけないし、そうありたい。常に昨年の気持ちを忘れないように取り組んでいきたいと思います」

 謙虚かつ貪欲に。藤田泰土は下から這い上がってきた「雑草魂」を大切にして、全国トップレベルの競争のなかで自分を磨き続ける。何が起こるか分からない未来を恐れることなく、成長するための大事な過程と信じ抜く強さとともに。

(FOOTBALL ZONE編集部)

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