八百長疑惑に揺れるアギーレ監督、逆風の中で白星発進 「勝ち点3を取れて良かった」
「楽な試合ではなかった」
日本代表のハビエル・アギーレ監督は12日、八百長疑惑で逆風が吹きあれる中、迎えたアジアカップ初戦パレスチナ戦での4-0勝利に、満足した様子を見せた。
「点差はありましたけれど、楽な試合ではありませんでした」
情報量の少ない中東の伏兵相手に大量得点で勝利し、メキシコ人指揮官は表情を緩めた。真冬の日本から一転、真夏のオーストラリアに移り、気温23度のニューキャッスルスタジアムで初戦を迎えた。暑さ、ピッチ状態の悪さに加え、風速10メートルという強風でロングボールの精度にも大きな影響が出た。
「かなり強い風があったんで、両チームにとってプレーしづらい状況がありました。しかし、両チームともに意欲的にプレーして、観客が喜びを感じる試合になりました。もちろん修正点はありますが、勝ち点3を取れたことは良かった」
優勝した2011年カタール大会は初戦ヨルダン戦で後半ロスタイムに同点に追いつくギリギリの展開で勝ち点1に留まった。だが、今回の初戦でしっかりと勝ち点3を手中に収めたことに喜びを示している。
後半28分に相手MFの退場で数的有利に立ちながら、追加点を奪うことができなかった。タッチライン際でフラストレーションをあらわにするシーンもあった指揮官だが、「そういうことはありません。どの試合でも、もちろんベストなことを望んでいる。それができなかった時の反応です」と語った。
指揮官にはオーストラリアで厳しい視線が向けられている。スペイン1部レアル・サラゴサ監督時代の2010-11年シーズン最終戦レバンテ戦で、八百長に関与した疑惑が浮上。スペイン司法当局に告発される事態となり、パレスチナ戦前日の記者会見では海外メディアから黒い疑惑に関する質問が浴びせられ、「辞任する考えはなかったのか?」という厳しい声も飛び出した。
だがチームは、今回の一連の騒動にもピッチ上で動揺を見せず、初戦を勝ち切った。16日にはグループリーグ2戦目イラク戦が待っている。前々大会覇者との対決に、アギーレ監督は「非常に難しいゲームになる。まず難しい初戦に勝つことができたのが良かったと思います」と話し、次戦に向け表情を引き締めた。
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サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images