エース上田が負傷…空いた森保JのFW枠、“10月メンバー外”のW杯戦士は「十分にこなせる」【前園真聖コラム】

アウェー2連戦に向けたメンバー選考が注目【写真:徳原隆元】
アウェー2連戦に向けたメンバー選考が注目【写真:徳原隆元】

日本代表の11月シリーズ、W杯最終予選アウェー2連戦に向けたメンバー選考が注目

 2026年アメリカ・カナダ・メキシコワールドカップ(W杯)のアジア最終予選を4戦終えて日本は3勝1分。2位以下のチームに差をつけている。今月7日に発表される11月15日のインドネシア戦と中国戦(ともにアウェー)ではどんな戦い方や選手を選択するのがいいのだろうか。元日本代表の前園真聖氏に見解を聞いた。(取材・構成=森雅史)

【PR】ABEMA de DAZN、明治安田J1リーグの試合を毎節2試合無料生中継!

   ◇   ◇   ◇

 W杯アジア最終(3次)予選も11月で折り返しを迎えます。現時点で2位オーストラリアと勝点5差ありますから、日本は余裕を持って戦うことができると思います。前回のカタールW杯のアジア最終予選では4戦を終えた時点で2敗していたことを考えると、今回はずいぶん安心して試合を見ることができます。

 特に11月19日に対戦する中国にはホームで7-0と勝ちました。あの試合での実力差を考えると、今回は戦い方を変えたほうがいいのではないか、特にターンオーバーを使ったほうがいいのではないかという意見があるようです。

 確かに森保一監督はカタールW杯のあと、2連戦では大幅にメンバーを変えて戦ってきました。それだけ日本代表の層は厚くなっていると思いますし、2戦を通じて多くの選手に経験を積ませることができました。

 だったらこの連戦でターンオーバーを使い、まだ経験の浅い選手を試してもいいのではないかという意見です。

 ですが僕はその意見に反対です。まだW杯出場を決めていないこの段階でそんな計算をするべきではありません。それに、ホームの中国との試合は確かに大差になりましたが、今度はアウェーゲーム。どんな相手でもやはりアウェーは違います。楽に勝てるとは思えません。

 ですから、僕はターンオーバーを使うと決めておくのではなく、コンディションを見ながら選手起用するべきだと思います。そしてこの2試合で連勝すれば、本大会がすぐそこに見えます。できれば来年3月には本大会出場を決めて、そこからどんどん選手を試したほうがいいのではないかと思います。

 また、勝っているので大きな注目を集めていませんが、今の日本代表にはこれまでチームを支えてきた冨安健洋(アーセナル/イングランド)、伊藤洋輝(バイエルン・ミュンヘン/ドイツ)、浅野拓磨(マジョルカ/スペイン)などが怪我の影響で招集されていません。そういう意味でも今回は慎重に戦うべきでしょう。

 そして今回はさらに上田綺世(フェイエノールト/オランダ)も負傷で招集できないはずです。僕はこの2試合で上田の代わりに誰を試すのか、というのがポイントになると思います。

 普通に考えれば9月10日のアウェー・バーレーン戦、10月10日のアウェー・サウジアラビア戦と連続ゴールを挙げた小川航基(NECナイメヘン/オランダ)が上田の位置に入ると思います。小川は11月3日のフローニンゲン戦でも2ゴールを挙げて好調を維持しているので、期待できるでしょう。

 そして10月の試合ではベンチ外になってはいたものの、大橋祐紀(ブラックバーン/イングランド)はそのまま招集されるのではないでしょうか。

 となるともう1人のFWに誰を選ぶか。僕は町野修斗(ホルシュタイン・キール/ドイツ)でいいのではないかと思います。カタールW杯のメンバーでもあったので、森保監督は十分に情報を持っているということでここまで招集していなかったのではないでしょうか。

 町野の懸念材料を挙げるとすると、今のチームではトップで張る役でなく、左右に動き回ってチャンスメイクもするプレーを求められているということです。日本代表に入って上田がこなしていたポストを求められた時、感覚をすぐに思い出せるかどうかという点でしょう。

 それでもこれまでの経験を考えると、十分にこなせるのではないかと思います。上田の負傷は本当に残念ですが、町野にはこれをチャンスに変えてほしいと願っています。

(前園真聖 / Maezono Masakiyo)



page 1/1

前園真聖

まえぞの・まさきよ/1973年生まれ、鹿児島県出身。92年に鹿児島実業高校からJリーグ・横浜フリューゲルスに入団。96年のアトランタ五輪では、ブラジルを破る「マイアミの奇跡」などをチームのキャプテンとして演出した。その後、ヴェルディ川崎(現・東京ヴェルディ)、湘南ベルマーレの国内クラブに加え、ブラジルのサントスFCとゴイアスEC、韓国の安養LGチータースと仁川ユナイテッドの海外クラブでもプレーし、2005年5月19日に現役引退を表明。セカンドキャリアでは解説者としてメディアなどで活動しながら、「ZONOサッカースクール」を主催し、普及活動を行う。09年にはラモス瑠偉監督率いるビーチサッカー日本代表に招集されて現役復帰。同年11月に開催されたUAEドバイでのワールドカップ(W杯)において、チームのベスト8に貢献した。

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング