日本ツアーに嘆き「この国は暑すぎる」 酷暑下で試合…まるで「サウナの中」で二の足踏む可能性【コラム】

トッテナム、ブライトン、ニューカッスルが来日した【写真:ロイター & 徳原隆元】
トッテナム、ブライトン、ニューカッスルが来日した【写真:ロイター & 徳原隆元】

今夏はブライトン、トッテナム、ニューカッスルが来日

 プレミアリーグ開幕まで2週間を切り、各クラブのプレシーズンツアーも一段落した。今夏、日本で試合を開催したのは、ブライトン、トッテナム、ニューカッスルの3クラブだったが、いずれも対応に苦労していたのは、日本独特の猛暑だった。3クラブそれぞれの練習と試合に足を運んだ際、日本で過ごすプレシーズンの本音が垣間見えた。また、現地取材に来日したイングランド人記者は、「来年以降、プレミアクラブは日本の猛暑を考慮に入れる必要があるレベルだ」と、今後の日本でのプレシーズンツアー開催に警鐘を鳴らしている。

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 ブライトンは7月24日に鹿島アントラーズ戦(5-1)、28日に東京ヴェルディ戦(4-2)を行った。23日の前日会見に臨んだファビアン・ヒュルツェラー監督は、日本の環境について尋ねられた際、苦笑いを浮かべながら「ブライトンとはかなり気候が異なる。でも、適応するしかない。暑いことを言い訳にできない」と回答。クラブが動画で公開している東京散策では、選手たちから「暑すぎる。汗だくになる」「焼き付くような暑さだ」と嘆きが飛んでいた。

 トッテナムは7月27日にヴィッセル神戸戦(3-2)を行ったが、クラブ公式YouTubeに投稿されている東京でのインタビュー動画で、MFデヤン・クルゼフスキは「トレーニングを開始して最初の2分間は、これまで体験したことのない暑さで発狂しそうだった。サウナの中で走っているようだった」と、規格外の猛暑に驚きを隠し切れない様子だった。

 ニューカッスルは7月31日の浦和レッズ戦は4-1で勝利した一方、8月3日の横浜FM戦では0-2と敗戦。選手たちの足が止まるシーンが目立っていなか、試合後にエディ・ハウ監督は「暑さが非常にきつかった。この暑さの中で、試合だけでなくトレーニングもしなければいけない。そして湿度もあるというのは、我々があまり体験したことがないもので、厳しかったと言うほかない」とコメント。MFショーン・ロングスタッフは「蒸し暑くて…気温と湿度はイングランドと全然違う。試合ぶりを見てもわかるだろう」と語っている。

 公開練習を行った7月30日の会見で、ハウ監督はプレシーズンの開催場所を日本に選んだ理由について「クラブに新しい経験をさせたいため」と回答した一方、「この暑さの中で動くというのは滅多にない。メニューをこなすだけでも大変だった」と言及。現地記者からは「日本は非常に遠くて、気候も厳しく、ストレスや疲労も溜まると思うが、ビジネスの面でこういったツアーを行うのは理解しているものの、それとは別にプレシーズンでチームを調整するという面で、バランスは取れるのか?」と率直な質問を受けると、「確かに、非常にデリケートなバランスだ。ここでの練習や試合は、本当にきつい。選手たちのことを考えたら、タフだろう」と本音を吐露していた。

来日した現地記者も日本でのプレシーズンを懸念

 横浜FM戦に現地取材に訪れていた英紙「シールズ・ガゼット」でニューカッスルを担当しているドミニク・スカー記者に、プレミアリーグ勢が日本で実施したプレシーズンツアーについての所感を尋ねると、「ただ単にコンディションを調整するためのツアーではないので、条件や待遇によっては、今後も日本での開催はありえるだろう。ただ、この国は暑すぎる。ニューカッスルは北部にあるので、とりわけ辛そうだった。来年以降、プレミアクラブは日本の猛暑を考慮に入れる必要があるレベルだ」と、プレシーズンを過ごす環境として疑問を投げかけていた。

 今夏のプレシーズンでは、マンチェスター・シティ、アーセナル、リバプール、マンチェスター・ユナイテッドといったプレミアの名門勢においては、イギリスから飛行機で約7時間のアメリカでツアーを実施。試合が行われたサウスカロライナ州やニューヨーク州、カリフォルニア州などは20度台の日が続き、湿度もほとんどない快適な環境で選手たちはプレーしていた。他国からも数多くのクラブが同時期にアメリカでプレシーズンツアーを敢行していたため、選手の状態やチーム構成を確認するための“本気度の高い”試合も組みやすい環境にあった。

 プレシーズンは商業的な取り組みに力を入れるため、来年以降も日本で開催される試合もセッティングされると考えられる一方、選手のコンディション面を鑑みると、飛行機で12時間以上の移動を伴い、気温が35度を優に超える湿度の高い環境は、今後プレミア勢に二の足を踏まれる可能性も十分にあるだろう。

(城福達也 / Tatsuya Jofuku)



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