元日本代表の父親と「同じポジションに」 W杯戦士のDNA継ぐ18歳…SB転向で「楽しいと思った」
G大阪ユース不動の左SBに君臨…18歳DF加地莉比斗に脚光
高校生年代のクラブユースチームの日本一を決める日本クラブユース選手権(U-18)でガンバ大阪ユースが2連覇を成し遂げた。7月31日に行われた川崎フロンターレU-18との決勝は豪雨の影響で40分のみの試合となり、ともに攻撃的に出た結果、3-2の撃ち合いを制する形となった。今大会、準決勝までの5試合を無失点で切り抜けてきたG大阪ユースの守備ラインの中で不動の左サイドバック(SB)として君臨したのが18歳DF加地莉比斗だ。
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プレーを見ていると非常にインテリジェンスを感じる。左利きの加地は縦への突破からのクロスを持ちながら、ビルドアップ能力とラインコントロール能力に長けたプレーを見せる。ボールを受けると、少ないタッチで正確なパスを通して組み立てられるのも魅力的だ。高いラインを設定するチームにおいてセンターバックのDF古河幹太らとコミュニケーションを取りながら、ラインの基準点を作るのも印象的だと言える。
実際、彼にどのようなイメージをしてプレーしているのかを聞くと、「予測や立ち位置を意識しています」と言う答えが返ってきた。
「攻撃が得意なので、全体のバランスを見ながら仕掛けることは意識しています。縦に仕掛けることもそうですが、うしろでもらって逆サイドに展開をしたり、中央につけたりすることも意識をしていて、個人的にツータッチとかでシンプルにつけるプレーも得意なので、そこを大事にしています」
加地が左SBでプレーするようになったのは小学校高学年のこと。「それまでは真ん中をやっていたのですが、サイドのほうが楽しかった。クロスを上げるだけではなく、ラストパスを出したり、逆にラストパスを受けて決めたり出来るのが楽しいと思った」と、そこから左SB一筋だ。さらにSBになったことで少しだけ心境に変化が生まれた。
「たまたまお父さんと同じポジションになったのですが、そこから少し意識するようになりました」
父親はG大阪で8年半プレーした加地亮氏。右SBとしてJリーグで長く活躍するだけではなく、U-20日本代表としてナイジェリアで行われたFIFAワールドユース(現・U-20ワールドカップ)で準優勝、A代表として2006年FIFAワールドカップ(W杯)・ドイツ大会のメンバーに選ばれ、2試合にフル出場した偉大な名プレーヤーだ。
「僕はお父さんとはタイプが全然違うので、一概には言えませんが、守備の部分は参考にしています。お父さんの上下動の質だったり、1対1の対応だったりは凄いと思っているので、そこは参考にしています」
利き足も違うし、サイドも違う。父親は爆発的なスプリント力と持久力、そしてパワーを駆使して攻守に関わるSBで、息子は周りと関わりながら突破したり守備を構築したりするSBとタイプも違う。
だが、プロの世界で長く活躍し、W杯まで登り詰めた努力の天才を誰よりも身近で見てきたからこそ、感じるもの、学ぶべきものがある。
「自分の課題は裏への対応なので、そこをもっと改善できるように意識をしています。将来的には世界で活躍できる選手になりたいので、しっかりと努力していきたいと思います」
自らと向き合い、父から学び、彼は自分の道をその足でしっかりと踏み締めながら歩いている。