ボール絡めぬ10番は「後手を取った」 なでしこ11人を英記者採点…女王に力負けも2選手が「7.0」
英国人記者チャーチ氏が採点
パリ五輪の女子サッカー競技は現地時間7月25日にグループリーグの初戦が行われ、C組のなでしこジャパン(日本女子代表)はスペイン代表と対戦し、MF藤野あおばの直接FK(フリーキック)弾で先制するも1-2の逆転負けを喫した。かつてアジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ(W杯)を7大会連続で現地取材中の英国人記者マイケル・チャーチ氏は、出場したメンバーを採点している。
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◇ ◇ ◇
<GK>
■山下杏也加(無所属) 6.5点
スペインの2つのゴールに対して、山下杏也加ができたことはほとんどなかった。最初はアイタナ・ボンマティに決められ、続いてマリオナ・カルデンティに決勝ゴールを許した。彼女の配球は正確であり、それによって日本は後方からのビルドアップを安定してできていた。
<DF>
■清水梨紗(マンチェスター・シティー) 6.0点
日本のファンは、膝の負傷がこのDFを大会の残り試合の欠場につながらないことを祈っているだろう。芝に足を打ち、交代せざるを得なくなった後半22分まで彼女は再び落ち着いて堅実なプレーを披露していた。
■南萌華(ローマ) 6.0点
試合の大部分では堅調なパフォーマンスを見せていたが、カルデンティが日本の右からカットインしてきて最終ラインを突破して滑り込みながらシュートを打った時にスペインの決勝点を阻止することはできなかった。もっとうまくできたかもしれない。
■熊谷紗希(ローマ) 6.0点
ベテランDFは、世界最高の選手であるボンマティを抑えきることができず、スペインの同点ゴールの場面では最終ラインの背後で時間と空間を与えてしまった。それ以外は堅実なパフォーマンスを見せていた。
■古賀塔子(フェイエノールト) 6.0点
左サイドバックのポジションから日本の攻撃に推進力を与えようとしたが、スペインのボール支配力と質の高いプレーによって、守備面での規律がより求められることになり、なかなか持ち味を出し切れなかった。
<MF>
■清家貴子(三菱重工浦和レッズレディース) 6.0点
ボール保持時には持ち前のテクニックを発揮することができるとともに、スペインが試合の主導権を握るにつれて、守備のタスクが増えるなかでも高い意欲をもって取り組んでいた。
■長谷川唯(マンチェスター・シティー) 7.0点
日本の中盤で、間違いなく最高のパフォーマンスを見せた。たゆまぬ努力で中央のポジションをカバーし続け、特に右サイドとの清水との連動を使ってスペインの守備をこじ開けるためにパスの能力も発揮していた。
■長野風花(リバプール) 6.0点
ボールを握った時はクオリティーの高さを出せたが、現在の女子サッカー界の最高のチームを相手に後手を取った。大会が進むにあたって、幸運が訪れることを期待する。
■宮沢ひなた(マンチェスター・ユナイテッド) 6.0点
日本のオリンピックの開幕戦では、圧倒的なパフォーマンスを見せて準々決勝進出に貢献した女子W杯の時と同じレベルの影響を与えることはできなかった。この先の試合で、改善されることが期待される。
■藤野あおば(日テレ東京ヴェルディベレーザ) 7.0点
素晴らしいフリーキックを決めて日本にリードをもたらし、スペインの守備に対して疲れ知らずのプレッシングをほとんどの時間帯で見せ、プレッシャーをかけ続けた。強固なパフォーマンスだった。
<FW>
■田中美南(ロイヤルズ) 6.5点
終始、粘り強く走り続けていたが、開始早々に藤野あおばのシュートが防がれた場面でスペインの守備の隙をつく鋭いスルーパスを通したのは、他ならぬ田中美南だった。相手を落ち着かせないために懸命に走り続けたが、それに対するご褒美が得られなかったことは不運だった。
(マイケル・チャーチ/Michael Church)
マイケル・チャーチ
アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。