森保ジャパンW杯最終予選「最強の26人」考察 三笘&伊東復帰で先発争い熾烈…パリ世代も台頭【コラム】
9月スタートの最終予選に招集すべき26名を考察
6月シリーズの2試合をともに5-0で終えた森保ジャパンは3か月後の9月に北中米ワールドカップ(W杯)のアジア最終予選を迎える。これまでの4-2-3-1、4-3-3というシステムに加えて、今回の2試合でトライした3-4-2-1にある程度の手応えを得たことで、3バックのオプションも想定に入れて、最終予選を戦うメンバーが選考されていくことになりそうだ。
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今回は最終予選のスタートとなる9月のシリーズに招集されるメンバーを予想する。基本的には6月のメンバーと大きく変わらないだろう。森保監督は3か月後の最終予選に向けて、大幅にメンバーを入れ替えない代わりに、2試合とも3-4-2-1でスタートし、そのまま90分を戦い切ったミャンマー戦、後半4-2-3-1にシステムチェンジしたシリア戦と、異なるプランで3-4-2-1をテストした。コンディションに不安のあった長友佑都(FC東京)を起用できなかった以外は2試合ですべての選手を起用できたことも収穫だ。
特に左サイドアタッカーの中村敬斗(スタッド・ランス)を左ウイングバック、左利きの堂安律(フライブルク)をミャンマー戦では右シャドー、シリア戦は所属クラブで経験している右ウイングバックで起用し、それぞれ結果を出したことは、例えば3バックにおける久保建英(レアル・ソシエダ)と堂安の同時起用など、システムに応じた選手の組み合わせのバリエーションを大きくアップさせることになりそうだ。
そうした成果を踏まえると、最終予選のスタートとなる3か月後の活動でも、大きくメンバーは変わらないと予想できる。ただし、怪我で離脱中の三笘薫(ブライトン)と引き続き招集が見送られた伊東純也(スタッド・ランス)という、これまで攻撃を引っ張ってきた両翼が順当に復帰すると想定すれば、そこで入れ替わりは起こるはずだ。
もう1つは夏のパリ五輪を終えて、どれだけの選手がA代表に組み込まれるかだが、9月の招集に関してはすでに“第2次森保ジャパン”に招集歴のある鈴木彩艶(シント=トロイデン)と細谷真大(柏レイソル)、U-23日本代表キャプテンの藤田譲瑠チマ(シント=トロイデン)が有力か。右サイドバックが本職の半田陸(ガンバ大阪)あたりも3バックであれば、右ウイングバックと右センターバックの両方をこなせる強みはある。ただ、欧州移籍が伝えられる毎熊晟矢(セレッソ大阪)など、上の世代でも実力者の多いポジションだけに、最終予選のスタート時点では候補にとどめた。
パリ五輪世代エース格の斉藤光毅、松木玖生もポテンシャル的には十分候補に
そのほか細谷と並ぶパリ五輪世代のエース格である斉藤光毅(スパルタ)、現在のA代表にもない特長を持つ松木玖生(FC東京)などはポテンシャル的には十分に入り得る。ただ、ここからしばらく親善試合など、テストがないのはA代表の経験者に比べて、不利な材料ではある。その意味ではミャンマー戦でA代表デビューした鈴木唯人(ブレンビー)は最終予選でも招集される可能性はあるのだが、伊東や三笘が復帰してくると攻撃的なポジションの競争が激しくなるので、このオフに移籍の可能性もある所属クラブで、さらに活躍を見せていく必要はあるだろう。
FWはミャンマー戦で小川航基が2得点1アシストを記録し、チームの1点目と2点目でも相手のディフェンスを引き付ける効果的な動きを見せたかと思えば、シリア戦では上田綺世が中村のクロスを豪快にヘディングで合わせるゴールなど、さすがの存在感を見せた。次回も2人とも招集される可能性が高く、あとはどちらがスタメンを張るかという競争になりそうだ。その意味で3人目は違ったタイプになりそうで、縦のスピードがある細谷は有力か。
前田大然(セルティック)は引き続き、サイドとの兼任になるだろう。もちろん6月は久しぶりに外れた浅野拓磨(ボーフム)が復帰する可能性もある。その場合、3バックなら前田と同じく1トップ、シャドー、ウイングバックの3ポジションが選択肢になってくるかもしれないが、パリ五輪世代も含めて攻撃陣の候補が増えてきており、メンバー入りを巡っても熾烈になっていくはず。その後、メンバーが固定的になるのか、入れ替わりが激しくなるかは最終予選のスタートとなる2試合の結果も大きく影響してきそうだ。
河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。