久保建英ら招集は厳しい 日本が拭いきれないパリ五輪最終予選への「不安要素」【コラム】

U-23日本代表の拭えない不安要素とは?【写真:徳原隆元】
U-23日本代表の拭えない不安要素とは?【写真:徳原隆元】

大岩ジャパンは3月シリーズで1勝1敗だった

 今年のパリ五輪を目指すU-23日本代表が3月25日、北九州スタジアムで行われた国際親善試合U-23ウクライナ代表戦で2-0の勝利を挙げた。22日のU-23マリ代表戦は1-3で逆転負けを喫していたが、大岩剛監督は10人を入れ替えて主力も多く投入。4月のパリ五輪最終予選を兼ねたU-23アジアカップに向けて収穫があった。それでも、2連戦を通して拭いきれていない不安要素に着目する。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)

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 土砂降りの北九州で大岩ジャパンが意地を見せた。前半は0-0で折り返し、後半から日本はFW細谷真大と、マリ戦でゴールしたMF平河悠を投入。勢い良く立ち上がった日本は後半3分、荒木が蹴った右コーナーキックをニアサイドでDF関根大輝が合わせると、ふわりと浮いたボールがクロスバーに当たって跳ね返り、ゴール前に詰めていたMF佐藤恵允が押し込む形になり先制点を奪った。さらに1点をリードした後半31分、日本は細谷がゴールに走り込んでのシュートを狙うもラストパスが相手に弾かれたが、こぼれ球を拾った途中出場のMF田中聡が持ち出して左足シュートを決めて2-0。リードを広げて試合を決定付けた。

 ただ、4月からスタートするアジアカップではグループリーグで中国、UAE(アラブ首長国連邦)、韓国と同居し、上位2チームが決勝トーナメントへ進出。3位以内に入れば、パリ五輪行きを確定できる。これは大岩ジャパンにとっては決して平たんな道のりではない。7大会連続で出場している五輪切符を逃す可能性は大いにある。今回選出されていない欧州組は最終予選の招集も難しい。主力候補のデンマーク1部ブレンビーIFに所属するMF鈴木唯人やオランダ1部スパルタ・ロッテルダム組のMF斉藤光毅とMF三戸舜介らアタッカー陣をはじめ、通常、大陸選手権の招集は1度のみというルールもあり、A代表で出場した1月のアジアカップメンバーの守護神GK鈴木彩艶(シント=トロイデン)、MF久保建英(レアル・ソシエダ)の招集も厳しいのが現状だ。

 最終予選には今回の招集メンバーがベースとなってくるなかで、MF山本理仁やMF藤田譲瑠チマというシント=トロイデンに所属するボランチ2人がチームの中心として牽引するなか、まだまだ“強烈なリーダーシップ”を発揮する選手が少ないのが実情だ。ウクライナ戦ではトライしようとする姿は見られた。初戦の中国戦でどれだけ落ち着いてプレーできるかが第一関門グループリーグ突破のカギとなるだろう。

 東京五輪では出場権が与えられていたため、直近で切符を懸けた最終予選に臨んだのは2016年に今のA代表主将MF遠藤航やMF南野拓実、FW浅野拓磨らが参加した大会。当時は“史上最弱”と言われながらも、日替わりヒーローが一体感を生んでいった。確実に大会を通して試合を重ねるなかで強くなっていった。パリ五輪世代にもそのチャンスはある。予選でのベストメンバー招集は厳しいかもしれないが、それぞれが“主役”になってもらいたい。残り1か月もない。各自が自身の舞台でひと回りもふた回りも大きくなることを期待している。

(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)



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