【カメラマンの目】A・ロペス、マテウス、エウベルに今季も期待

　カメラのファインダーを通して見た、ハリー・キューウェル新監督が指揮する横浜F・マリノスに1つの変化を感じた。2月1日、新シーズンに向けてその横浜FMが松本山雅とトレーニングマッチを行った。J1の雄は30分×4の試合で7-3と貫禄の勝利を挙げる。

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　内容は1本目の序盤はエンジンがかからなかったが、失点をするとすぐに反撃に出て、その後はほぼ試合のペースを手中に収めた。

　では、このトレーニングマッチで雨に濡れるトリコロールの選手たちのどんなところに変化を感じたのか。それはチームの得点源であるアンデルソン・ロペスの身体付きだった。屈強な体形を誇るブラジル人ストライカーは、パワーファイターを思わせる雰囲気はそのままに、よりシャープに変貌していた。明らかに身体を絞っているようだった。

　ただ、このA・ロペスに感じた変化は彼だけに限ったことではなかった。同じブラジル人のヤン・マテウスも精悍になった雰囲気が漂っていた。

　前線のブラジル人トリオのうちエウベルには、外見による変化をあまり感じなかったが、この強力な3トップの誰もが、松本のDF陣が守る最前線で切れのある動きを見せた。エウベルの言葉によると「オフシーズンでもしっかりと練習してきたので、上手くキャンプに入れてコンディションも良い」と言うことだった。

　リーグ戦開幕前にAFCチャンピオンズリーグの試合が控えているため、チーム全体で仕上がりが早いということもあるが、横浜FMの攻撃陣は鋭い動きで松本山雅の守備陣を無力化した。

　エウベルは時に相手ゴールから離れた長い距離の単独ドリブルも見せ、松本山雅陣内へと侵入した。マテウスはドラッグレースを競う車体のように、ボールを受けると一気に加速し、得意のドリブルでチャンスを演出した。

　ただ、この背番号11のドリブラーは、決して同じ右サイドの選手との連係を疎かにはしていない。DF松原健は後方からの狙い澄ましたパスを前線に供給する一方で、チャンスと見ればマテウスを追い越して前線へと進出した。ここでマテウスはドリブル一辺倒ではなく、味方の動きにもしっかりと呼応しパスの起点ともなっていた。

　同じ右サイドでプレーした天野純が「右で作って左で仕留めるという動きが多かった」と言ったように、右サイドは多彩な崩しでチャンスを作るプレーが顕著に表れていた。

守備面での貢献も大きいオフェンス陣

　こうした強力な攻撃力を演出する横浜FMのオフェンス陣だが、見逃せないのは守備面でもチームに大きく貢献していることだ。エウベルが「守備は自分たち攻撃陣から始まる」とコメントしているように、切れのある動きは攻撃だけに限らず、守備に回った時には相手を激しく追い込んだ。

　相手GKから始まる敵の攻撃の際には、後方のDFエドゥアルドから盛んに、エウベルに向けてマークへの指示が飛んでいた。前線の選手の自らの強い意志だけでなく、味方からのアドバイスもあって、攻撃陣は守備にも高い意識を持つようになっているようだ。

　そのなかでもA・ロペスは攻守に渡って、際立った存在感を発揮していた。頑強な身体がより鋭さを増しているブラジル人ストライカーだが、そのプレーは外見を裏切るように器用な部分も持ち合わせている。風貌からすれば強シューターというイメージがあるが、多くのシュートはコースを狙った冷静なプレーが光る。フィジカルで相手を跳ね返し、フィニッシュは冷静に決める高いシュート技術を持っている。

　横浜FMの攻撃は多彩で華麗で力強い。三拍子揃ったこの攻撃陣は、新シーズンにおいてもリーグ屈指の破壊力を秘めていることは間違いない。