2011年大会で優勝に導いた李忠成氏にインタビュー

　森保一監督率いる日本代表はカタール・ドーハで行われているアジアカップで優勝を目指す。2011年のカタール大会の決勝で伝説のゴールを決めた元日本代表FW李忠成氏は「FOOTBALL ZONE」のインタビューに応じ、アジアの頂点になるために何が必要か“提言”した。（取材・文＝FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞／全2回の2回目）

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「エースストライカーというポジションを取ってほしい」

　2011年1月29日、ドーハのハリファ国際スタジアム、0-0の延長後半4分、歴史に残るスーパーボレーシュートが決まった。ザックジャパンが臨んだアジア杯決勝オーストラリア戦、決着をつけたのが李氏だった。現在の森保ジャパンの選手に「一番思い出に残っているアジア杯は？」と問うと、ほとんどの選手が「李忠成さんのボレーシュート」と答える。日本時間の深夜、この一撃に熱狂した人は多いだろう。

　試合を決めたのはやはりストライカーだった。2011年カタール大会では初戦のヨルダン戦で後半頭か出場。だが、45分間では思うような結果にならず次ピッチに立った時が決勝の舞台だった。一夜にしてシンデレラボーイへ。記憶にも記録にも残る一発だった。

　当時、李氏はA代表初招集。自分自身も追い込みながら臨んだ大会だった。だからこそ、森保ジャパンにもFW陣の活躍に期待する。

「上田綺世、細谷真大、注目はこの2人ですかね。やっぱりフォワード陣。日本代表は強いと言われていますけど、日本のストライカーというのはまだ確立されてないじゃないですか。入れ替わり、入れ替わり出るみたいな。だから強いのかもしれないけど、やっぱり日本代表のエースストライカーというポジションを取ってほしい。誰かが。エースストライカーは夢がある。それを誰が取るのかというのはすごく興味深いし、浅野拓磨なのか、前田大然なのか、今言った2人なのか」

　グループリーグを終えて現在上田が3ゴール、細谷は当時の李氏のように初戦のベトナム戦で45分間のチャンスをもらったが生かし切れなかった。まだまだウズウズしている状況だ。

「この大会で覚醒して台頭してくるかもしれない。ポテンシャルはすごくある。まだそれほど代表経験もないと思うけど、そういう選手だからこそアジア杯で一発やれればいい。柏レイソルの後輩というのもあって、好きなのもありますし、あとはまだ22歳。22歳はいくらでも覚醒する。海外の選手なら24歳、25歳ぐらいで急に化ける選手もいる」

「例えば……」と話したのは、元イングランド代表で現在はMF三笘薫と同国1部ブライトンで同僚のMFアダム・ララーナ。サウサンプトン時代の元同僚が23歳の頃、間近で成長を見てきた李氏は「本当に昨日の今日でびっくりするぐらいハネる。そんな上手くなったの!?　と。その可能性はすごくある」と、細谷の活躍に期待を寄せた。

　ここまで悔しい思いも経験している細谷。だが、一夜にしてヒーローになれる可能性はある。「オンザボール、足もとにボールがあっても、ドリブルでゴリゴリ持っていってシュートを打てるのが細谷」。その力強さを大舞台で発揮し、日本を次なるステージへ導いてもらいたい。