常勝軍団に“復活の兆し”か 鹿島ポポヴィッチ監督の目指す守備のリソース「はっきりしている」

徳島とのトレーニングマッチでは鹿島の守備に変化が見られた【写真:徳原隆元】
徳島とのトレーニングマッチでは鹿島の守備に変化が見られた【写真:徳原隆元】

【カメラマンの目】FDの吉岡氏や強化アドバイザー鈴木氏も評価

「やりたいことがはっきりしている」

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 鹿島アントラーズでフットボールダイレクター(FD)を務める吉岡宗重氏のランコ・ポポヴィッチ監督を評した言葉である。

 1月23日から宮崎でキャンプを張る鹿島は、30日にJ2徳島ヴォルティスとトレーニングマッチ(45×2、30分×1)を行い3-1の勝利を挙げた。攻撃的なサッカーの追求を信条とするポポヴィッチ監督だが、この試合で目に留まったのは鹿島の強力な守備力だった。前線から積極的に守備を行い、局地戦での1対1の勝負にも闘志を漲らせた激しいプレーで徳島を追い込んでいく選手たちの姿が印象に残った。

 鹿島は昨年も宮崎でのキャンプ期間中に徳島とトレーニングマッチを行っている。昨年も現場に立ち会った徳島のチームスタッフは「明らかに今年の方が守備の強度が増している」と鹿島が力強いチームに変貌していることを感じていた。

 確かにこの徳島戦を見る限り今年の鹿島は守備的だ。ただ、守備のチームと表現すると消極的なスタイルと思われがちだが、新シーズンに向かう鹿島にはボールハンティングという言葉が似合う攻撃的なディフェンスがチームのなかに根付き始めている。

 長年にわたってFDとして常勝鹿島をフロントから支え、現在は強化アドバイザーを務める鈴木満氏も「チームに(ポポヴィッチ監督が)来る前はオフェンスの指導はできるが、ディフェンスはいろいろと(否定的に)言われていたが、しっかりとディフェンスから(チーム作りに)入っている」と吉岡FD同様にポポヴィッチ監督が明確なコンセプトを持ってチーム構築に臨んでいることを、フロントの立場から見ていて実感しているようだった。

 さらに鈴木氏は、サッカーのセオリーや個人の基本プレーを活かしたうえでの戦術への展開は、実に合理的だと高く評価している。

 ポポヴィッチ監督自身も、対徳島戦の勝利は満足のいく内容だったようで、特に得点シーンは「(こちらの)プレッシャーから相手がパスミスをしてユウマ(鈴木優磨)のゴールが生まれた。3点目もボールをシンプルに動かしていいリズムを作り出し、前線にボールを供給してからはスピーディーにゴールへと向かえた」と相手のゴールネットを揺らしたシュートだけでなく、そこに至るまでの流れで、目指すスタイルを具現化できたことに胸を張った。

 ただ、このシンプルでスピーディーなサッカーが、果たして技術的にも精神的にもレベルか高いJ1のチームとの戦いでも機能するかと言えば、それはまだ分からない。それだけJ1のチームは手ごわいクラブが顔を揃える。

 それでもポポヴィッチ監督の目指すサッカーは、近年タイトルから遠ざかり、迷走していた鹿島を救い出す可能性を秘めている。攻守にわたって明確なメッセージをチームに伝え、それを着実に体現していく鹿島には常勝軍団への復活の兆しが見えた。

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徳原隆元

とくはら・たかもと/1970年東京生まれ。22歳の時からブラジルサッカーを取材。現在も日本国内、海外で“サッカーのある場面”を撮影している。好きな選手はミッシェル・プラティニとパウロ・ロベルト・ファルカン。1980年代の単純にサッカーの上手い選手が当たり前のようにピッチで輝けた時代のサッカーが今も好き。日本スポーツプレス協会、国際スポーツプレス協会会員。

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