森保監督の手腕 “可視化”されたチームビルディングの中心に愛弟子2人の存在あり【現地発】

日本代表を率いる森保一監督【写真:ロイター】
日本代表を率いる森保一監督【写真:ロイター】

森保監督、選手の言葉から紐解く

 森保一監督率いる日本代表は1月31日にカタール・ドーハで行われているアジアカップの決勝トーナメント1回戦でバーレーン代表と対戦する。グループリーグ(GL)は2勝1敗の2位通過。3大会ぶり5度目の優勝を目指すなかで、指揮官は明確なチームビルディングを掲げている。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)

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 GL第2戦でイラクに敗れた2日後、練習前に行われた約30分間のミーティングでは選手から活発に意見が飛び交った。攻撃と守備に分けて映像を確認しながら、それぞれの主張を自発的に話した。連勝が10で止まり、しかも敗れたのはアジア相手。ドイツやカナダら強豪を倒して重ねた勝利がストップしたことで選手には「何か変えなくては」という意識が生まれていた。

 このミーティングをきっかけに一丸となって第3戦インドネシア戦の勝利を突き詰めた。その結果、3-1の勝利だったと思う。

 そのなかで、森保監督が今大会で話すようになったことの1つとして、選手やコーチの意見を聞きながらも“最適解”を導き出す作業を徹底していること。そして、その意見が反映されなかった時のケアも怠らず行っていること。

「ケアとして意見を吸い上げてもらえなかった人には、決定事項に従ってもらうと話している。ただ勇気をもってチームのために考えてくれることが非常にチームにとって大切だとは伝えています」

 インドネシア戦前日に指揮官は話した。この発言で森保ジャパンが風通しのいい“職場”となっていることが分かる。

 さらに象徴するのが2人の“愛弟子”。DF冨安健洋とMF堂安律は第1次政権の立ち上げ当初からコンスタントに招集されているメンバーで、東京五輪世代。森保監督とは最も密度の濃い時間を過ごしてきた。

 だからこそ、堂安は「背番号(10番)のことも含めて常にチームのためにという感覚になっている」と話し、冨安も「選手も森保さんのためにと思ってプレーしているし、選手にとっても信頼されているということで、その分恩返しではないが、ピッチでのモチベーションにつながるので、いい循環ができている」とした。

 この2人は今大会、一貫してこの発言を繰り返している。強烈なリーダーシップを持つ2人が言葉にして牽引することでチームが1つの方向に向いている。

 チームを作り上げるうえで選手からの意見を融合させ、積み上げていく。このアジアカップではこの積み上げを徹底することと、さらに表現することで森保ジャパンの方向性が可視化されている。

 その目指す最終地点はもちろん、世界一。そのためにはアジア王者となり、7試合することがより重要となるのだ。

(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)



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