強豪・大津「不完全燃焼」でも達者な試合運び V候補との3回戦で目論む「らしいプレー」【高校選手権】

大津が昌平と3回戦で対戦【写真:Getty Images】
大津が昌平と3回戦で対戦【写真:Getty Images】

2回戦で苦しみながらも遠野(岩手)を撃破、3回戦で昌平(埼玉)と対戦

 第102回全国高校サッカー選手権の2回戦で唯一、公立校同士の顔合わせとなった遠野(岩手)対大津(熊本)の一戦は、プレミアリーグWEST所属の大津が1-0で勝ち、1月2日の3回戦で昌平(埼玉)と対戦する。

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 前々回準優勝、前回大会もベスト4入りした大津は、立ち上がりからボールを支配して主導権を握った。1年生から複数のポジションをこなしてきた主将のMF碇明日麻が攻撃陣をリード。左MF古川大地やFW稲田翼が、上手にボールを引き出して遠野陣営に進入した。

 先制点が早かった。前半8分、左サイドバックDF田辺幸久の左クロスを相手DFがクリアミス。これを古川が手早く拾って右足で先制弾を蹴り込んだ。

 古川は「こぼれ球だったのでふかさないよう気を付け、枠に飛ばすことに集中して打ちました」と初シュートの感触を説明し、「インターハイは悔しい思いをしたので、選手権はワクワク楽しむことだけを考えてプレーしたい」と話す。今夏のインターハイは初戦の2回戦で市立船橋(千葉)にPK戦負けした。

 この10月末に就任したばかりの宮﨑祐介監督は「初戦なのでもっと硬くなると思っていましたが、選手の表情が明るかった。早い時間帯に先制できたことも大きかった」と全国大会での初采配を勝利で飾り、笑顔が絶えない。

 前半のシュートは3本だけだが、それでも試合運びは達者で、緩急をうまく使い分けた攻撃に加え、189センチの大型センターバック五嶋夏生がまとめる4人の守備ラインは安定感があった。

 3年ぶり30度目の出場を果たした遠野は、1948年(昭和23年)創部の古豪らしく堅実な戦いをしながらも、時折敵の急所を突く攻めを見せた。後半は大津の3本を上回る6本のシュート。特に前半22分、MF馬場大瀬が右からのクロスをヘディングで捕らえた一撃は決定的だったが、GK坊野雄大の正面を突いて捕球された。

 宮﨑監督は「中盤の3人がうまく動いて巧みなビルドアップだった。守備ラインも統率が取れていましたね」と遠野をリスペクトした。

 大津は追加点こそ奪えなかったが、失点もなく1-0で逃げ切った。

 ベスト4入りした前回大会は、1-1からのPK戦で浜松開誠館(静岡)を破る辛勝だった。今回も競り合いをものにした格好だが、碇は「初戦が難しいことは分かっていた。それでも先制できたし、攻められても我慢強く守り、初戦を突破できて良かった」とひと息ついた。

 勝ち上がった大津は新年初戦の3回戦で昌平とぶつかる。宮﨑監督は「今日は初戦なのでこういう試合になったが、次からはうちらしいプレーをしてくれると思う。今日は選手も不完全燃焼だし、次は得点を重ねたい」と必勝の構えを見せた。

(河野 正 / Tadashi Kawano)



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河野 正

1960年生まれ、埼玉県出身。埼玉新聞運動部で日本リーグの三菱時代から浦和レッズを担当。2007年にフリーランスとなり、主に埼玉県内のサッカーを中心に取材。主な著書に『浦和レッズ赤き激闘の記憶』(河出書房新社)『山田暢久火の玉ボーイ』(ベースボール・マガジン社)『浦和レッズ不滅の名語録』(朝日新聞出版)などがある。

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