中村敬斗が示した4戦4発の決定力 三笘薫の不在をかき消すゴール前での“冷静さ”【コラム】
カナダ戦で先発出場して1ゴールを記録
森保一監督率いる日本代表は10月13日、デンカビッグスワンスタジアムでカナダ代表と対戦して4-1で勝利を収めた。左ウイングで先発出場を果たしたMF中村敬斗(スタッド・ランス)は、前半42分にチーム3点目をマーク。国際Aマッチ出場4試合で4ゴールという圧倒的な決定力を見せた。だが、後半に相手からファウルを受けて左足首を負傷。途中交代を余儀なくされた。不運な交代となってしまったが、MF三笘薫が不在のなかで、確かな存在感を発揮した。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)
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必ず決める男がまたゴールへ突き刺した。2点リードの前半42分、FW浅野拓磨からパスを受けるとゴール前の中村は落ち着き払っていた。相手DFに背を向けて冷静にかわし、シュートコースが見えたところで右足を一閃。これで出場4戦4発という決定力の高さを発揮した。
ゴール前での冷静さは日本代表でも屈指。初ゴールの6月エルサルバドル戦を含め、9月に行われたトルコ戦では2ゴール。枠内に飛ばし、しっかり仕留めきっている。
昨季まではオーストリア1部LASKリンツでプレー。31試合で14ゴール7アシストという結果を残して、夏には複数クラブの争奪戦となった。最終的に決定したスタッド・ランスのほかにフランス、ドイツなどから獲得打診があるなかで、MF伊東純也がプレーするクラブへの移籍を決めた。
もともと、シュートの巧さには定評があるなかで、所属クラブでも両翼を担う伊東のクロスに飛び込む技術をさらに磨いた。積極的にチームメイトとコミュニケーションを図る性格で、日本代表も今回で4度目の招集ながら自身を生かし、周りに生かされている。コミュニケーション能力の高さはプロキャリアをスタートしたガンバ大阪時代から。1年目のキャンプではFWアデミウソン(現FC町田ゼルビア)と2人部屋になったこともあった。まだ17歳だったが、身振り手振りや英語を駆使して仲を深めることができた。オーストリアでも、今のフランスでも、もちろん日本代表でも、すぐさまチームに溶け込むことができているのは中村の人柄があるからこそだ。
負傷で途中交代となってしまい、離脱の可能性もあるが、三笘が不在のなかで確かな存在感を発揮した。11月から始まるワールドカップ(W杯)アジア予選、来年1月のアジアカップでも欠かせないピースになってくるはずだ。