“サッカー通”小柳ルミ子が考える日本と海外の違い 「世界と比べ、暗黙の了解がある」と指摘したのは?【インタビュー】

小柳ルミ子はJリーグでは大ベテランの43歳MF遠藤保仁に注目【写真:徳原隆元】
小柳ルミ子はJリーグでは大ベテランの43歳MF遠藤保仁に注目【写真:徳原隆元】

若手志向の日本は「『ベテラン=ピークを過ぎた人』と捉えがち」と指摘

 芸能界屈指のサッカー好きとして知られる小柳ルミ子は、アルゼンチン代表FWリオネル・メッシの熱狂的ファンというだけでなく、国内外のサッカーに深く精通している。そんな圧倒的な試合観戦数を誇る彼女に、日本サッカーと海外サッカーの違いについての持論を訊いた。(取材・文=城福達也/全4回の2回目)

 どうしても“小柳ルミ子=メッシ”というイメージを抱きがちだが、福岡県出身でアビスパ福岡を応援しており、日本サッカーにも強い関心を持つ。そんな小柳ルミ子にJリーグで注目している選手を尋ねると、今乗っている選手や期待のルーキーではなく、今年43歳となった大ベテランの元日本代表MF遠藤保仁(ジュビロ磐田)の名を挙げた。

「注目選手と聞かれると、誰しもが若手選手から選ぼうと思いがちですが、個人的には代表で功績を残して今なお現役として活躍しているレジェンドにあえて注目しています。例えば遠藤保仁選手。プライベートで友達なんですが、40歳を超えても現役でプレーしていて、まだまだ頑張りたいと言っている。その経験やサッカーIQは財産なので、彼らのような存在を大事にしてほしいです。乾貴士選手(清水エスパルス)や香川真司選手(セレッソ大阪)もそうですね。海外で経験を積んで、代表でも結果を残して、今も第一線で活躍しているのは、日本サッカーにとっても重要なことです」

 公式X(旧ツイッター)のプロフィール欄には「メッシ命」「サッカー命」、公式インスタグラムのプロフィール欄には「football!! 年間2000試合観戦」と記載するほどサッカーに熱意と愛情を抱いている。そんな小柳ルミ子が日本サッカーと海外サッカーの間でギャップを感じるのが、ベテラン選手への評価だという。分かりやすいのは、代表招集の傾向だろう。

「エンタメにも言えることなんですが、日本は意外と、キャリアのある人よりも、若い人を重視する国なんですよね。『ベテラン=ピークを過ぎた人』と捉えがちなんです。彼らの経験は唯一無二で、現役のうちに日本サッカーへ還元してほしいことはまだまだたくさんあるわけです。そこにもっともっと敬意を払わなければならないと思っています。海外は、年齢ではなく実力で見ていますよね。35歳でも、活躍していたら代表に招集されるのが当然の世界です。一方で、世界と比べ、日本には年齢制限という暗黙の了解がある。例えば大迫勇也選手も、Jリーグであれだけ結果を残しているので、海外であれば代表に声がかかっているはずなんです」

日本サッカーのさらなるステップアップに必要な要素は?

 代表ではカタール・ワールドカップ(W杯)のグループリーグで日本代表がドイツ代表とスペイン代表を撃破し、個人では日本人選手が欧州リーグで際立った活躍を見せることも珍しくはなくなってきた。世界との差が着実に埋まってきていると言っていい。テクニックやフィジカル、デュエルや得点力でも世界と遜色ない結果を残し始めているなかで、まだまだ伸び代の部分も残っていると小柳ルミ子は主張する。

「ある前途有望な若手選手が欧州に渡った時に、加入した海外クラブの監督から『君、もっとサッカーを勉強しなさい』と言われたらしいんです。Jリーグで結果を残して、自信を持って渡欧したと思うんですけどね。そういう点を踏まえても、世界的な指揮官の元でプレーする日本人選手がもっと出てきてほしいですね。例えばマンチェスター・シティのジョゼップ・グアルディオラ監督の指導を受けた日本人はまだいないわけで、そういった名将から多くを学んだ選手たちがそれぞれ自国に還元していくといった部分は、ほかの強豪国に比べるとまだ足りていないところかもしれません」

 DF冨安健洋はプレミアリーグの名門アーセナルでプレーしており、MF遠藤航も強豪リバプールへと加入。MF三笘薫やMF久保建英もビッグクラブへの移籍が取り沙汰されており、世界の第一線で結果を残すトップクラスの指揮官から指導を受ける選手が今後も増えてくることだろう。

 日本サッカー協会(JFA)は2030年に日本がW杯でベスト4入り、2050年には優勝を果たすという目標を掲げているなか、どのような成長曲線を描いていくのか。小柳ルミ子は世界と比べた現状の課題に触れつつも、悲願の達成に期待を寄せていた。

(文中敬称略)

[プロフィール]
小柳ルミ子(こやなぎ・るみこ)/1952年生まれ、福岡県出身。15歳で宝塚音楽学校に入学。首席で卒業後、芸能界入り。テレビや配信を中心に、1日に5試合、仕事がない日は10試合、年間で約2000試合を観戦。Jリーグや高校サッカーなどの国内サッカーをはじめ、海外サッカーもサッカーノートをつけながらチェックしており、“日本で一番サッカーを見てる芸能人”とも言われる。好きなサッカー選手はアルゼンチン代表FWリオネル・メッシ(インテル・マイアミ)。

(城福達也 / Tatsuya Jofuku)



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