飛躍のエース候補・斉藤光毅、「A代表→パリ五輪行き」の決意と現在地 理想像は「考えすぎずにノリノリでやれる選手」【コラム】

チームメイトからの祝福を受け、笑顔を見せる斉藤光毅【写真:Getty Images】
チームメイトからの祝福を受け、笑顔を見せる斉藤光毅【写真:Getty Images】

U-23アジアカップ予選の日本代表に選出、エース級として大きな期待を背負う斉藤光毅

 9月のインターナショナルデーに突入し、各世代の日本代表が活動をスタートさせている。大岩剛監督率いるU-22日本代表は灼熱の地・バーレーンへ赴き、6日からU-23アジアカップ予選に挑むことになる。

 その相手はパキスタン、パレスチナ、バーレーンと日本にとって格下ばかりだが、タフな環境下で中2日ペースのなか負けられない試合を戦うのはやはり難易度が高い。今こそ選手たちの真価が問われると言っていい。

 同予選でエース級として大きな期待を背負っているのが、欧州4シーズン目を迎えた斉藤光毅(スパルタ・ロッテルダム)だ。

 19歳だった2021年頭にベルギー2部・ロンメル入りした彼は、1年半後の2022年夏にオランダ1部スパルタ・ロッテルダムへのステップアップを実現。新天地1年目だった昨季はリーグ戦26試合出場7ゴールという確固たる実績を残している。

「最初のほうは自分の特徴をなかなか理解してもらえなくて、出場時間も少なかった。でも、ドリブルの仕掛けや裏に抜けるプレーといったストロングポイントを練習から出していって、だんだん周りに分かってもらえた。途中出場から徐々にスタメンで出られるようになって、結果が付いてきたという感じですね」と、斉藤は適応の過程を振り返っていた。

 「昨年超えの数字」を目標に掲げつつ、スタートさせたオランダ2年目。8月12日の開幕・ズヴォレ戦こそ軽い怪我で欠場したものの、続く20日のフェイエノールト戦以降はコンスタントに左ウイングの位置でスタメン出場。27日のヘーレンフェーン戦では2ゴールを叩き出し、開幕3連勝を達成。この時点で首位に立つ好発進を見せたのである。

クラブでの活躍を代表活動に活かせるか【写真:元川悦子】
クラブでの活躍を代表活動に活かせるか【写真:元川悦子】

小川航基との「コウキダービー」で悔しさ「あれは決めなきゃダメ」

 こうしたなか、迎えたのが、9月1日のNECナイメンヘン戦だった。小川航基との「コウキダービー」として現地でも注目された一戦に斉藤は先発。序盤から積極的に左サイドで仕掛けていく。対面の右サイドバック(SB)の能力が高く、なかなか思うように抜き切れずに苦しんではいたが、スパルタの攻撃の中心としてチームメイトから信頼されている様子が随所に窺えた。

 スコアレスで折り返した後半。スパルタはNECに先制点を献上し、絶対に追い付かなければならない苦境に追い込まれた。そこで斉藤のギアも一気にアップ。仕掛けの回数も大幅に増えていった。

 最大の得点機だったのは、後半23分の右コーナーキックに飛び込んだ場面。ファーサイドからフリーでダイビングヘッドを試みたが、シュートはまさかの枠の上。これには本人も大いに悔しがるしかなかった。

「あれは決めなきゃダメ。あれを当てられなかったら、髪を切らなきゃダメです」と彼は苦笑していたが、異国では1つ1つの数字がチームと自分のキャリアを大きく左右する。その厳しさをよく理解しているから、斉藤は結果に強くこだわるのだ。

 結局、この日は1-1のドロー。勝ち点1という最低限の結果を残し、斉藤自身も安堵したのではないか。

「でも自分は全然ダメでしたね。仕掛けたけど抜き切れず、チャンスも作り切れなかったので。NECはブロックを作って守ってくる形だったので、(ライスダイク)監督も『コウキに1対1を仕掛けさせろ』と言っていましたけど、僕自身は任されている役割を十分果たせなかった。まだまだですね」と本人は反省しきりだった。

目指すはさらなる高み「上手くいっていない状況でも抜けるような環境作りをしないと」

 斉藤が理想とするサイド像とは「考えすぎずにノリノリでやれる選手」だという。

「考えすぎちゃうと詰まったり、抜けなかったりすることが結構あるので、自分の間合いとか抜くタイミングとかを極めていかないと。自分の感覚を研ぎ澄ませて、上手くいっていない状況でも抜けるような環境作りをしていかないといけないと思っています。すべての面で相手が脅威だと感じる存在になりたい。そこを目指して、どんどんやっていきます」と彼は改めて飛躍を誓っていた。

 そんなギラギラ感をU-22代表にも持ち込んでほしいもの。早くから欧州挑戦している斉藤の高度な国際経験値を大岩監督も頼りにしている部分は少なくないはずだ。が、本人はなかなか絶好調時のパフォーマンスを代表で出し切れていない印象もある。今回のパリ五輪予選ではマイナスイメージを払拭する好機にしてほしいものだ。

「今回はすごく大事な公式戦。みんなJリーグとかベルギーとかいろんなリーグでやっているなか、集められてバーレーンでタイトなスケジュールで試合をするので、本当に難しいと思います。涼しい気候のオランダから猛暑の国に行ってプレーするのが初めてなので、自分もどうなるか分からないけど、いい準備をして、普段以上のパフォーマンスを出さないといけないと思います。

 パリ五輪代表は『A代表経由パリ行き』という目標がありますけど、五輪代表だからA代表に呼んでもらえるとかじゃなくて、欧州で活躍しているから選ばれるような選手に僕はなりたい。そうなれるように、まずはバーレーンで頑張ってきます」

 斉藤は新たな決意を胸に中東の地へ向かった。9月6日からの予選ではオランダ仕込みの切れ味鋭いドリブルと精度の高いシュートが炸裂するはず。彼には絶対的エースとしての存在感を大いに示してほしいものである。

page1 page2

元川悦子

もとかわ・えつこ/1967年、長野県松本市生まれ。千葉大学法経学部卒業後、業界紙、夕刊紙記者を経て、94年からフリーに転身。サッカーの取材を始める。日本代表は97年から本格的に追い始め、練習は非公開でも通って選手のコメントを取り、アウェー戦もほぼ現地取材。ワールドカップは94年アメリカ大会から8回連続で現地へ赴いた。近年はほかのスポーツや経済界などで活躍する人物のドキュメンタリー取材も手掛ける。著書に「僕らがサッカーボーイズだった頃1~4」(カンゼン)など。

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング