10年以上日本でプレーするドウグラスが思う印象的なJリーガー3人 スターにパスの名手、“天才”FWも「洗練されたアイデア」【インタビュー】

日本でのプレーが10年を数えるドウグラス【写真:Getty Images】
日本でのプレーが10年を数えるドウグラス【写真:Getty Images】

徳島や広島、神戸など計6クラブでプレーのドウグラス

 Jリーグの歴史を語るうえで、外国籍選手の存在は欠かせない。プレーヤーとしての実力はもちろんのこと、日本の生活や文化に馴染もうと努め、活躍につなげた例は多い。「FOOTBALL ZONE」では、「外国籍選手×日本文化」の特集を組むなかで、10年以上の月日を日本で過ごしたレアなブラジル人選手のJ1柏レイソルFWドウグラスに話を訊いた。長年活躍するドウグラスが印象に残っている選手はいるのだろうか。(取材・文=河合拓/全3回の3回目)

   ◇   ◇   ◇

 日本サッカー協会(JFA)は、2050年までに日本代表がワールドカップ(W杯)で優勝することを目標に掲げている。1998年のフランスW杯に初出場するまでは、W杯は夢の舞台だったが、日本代表は直近4大会のうち3大会でベスト16に入り、欧州リーグのクラブにも日本人選手が在籍していることが当たり前となってきた。

 この急速な発展を支えているのが、1993年に開幕したJリーグであることに異論の余地はないだろう。現在の日本代表の選手たちも、ほぼ例外なくJクラブで技術などを磨き、トッププレーヤーへと上り詰めている。

 そんなJリーグの発展は、外国籍選手の存在抜きに語れない。ドウグラスは10年にわたってJリーグでプレー。自身のキャリアの最も長い時間を日本で過ごしている。数多くの選手たちとプレーしてきたドウグラスに、Jリーグでプレーしてきたなかで特に印象に残っている選手たちの話を聞いた。

「相当、長い期間にわたって日本でプレーしてきたので、本当にいろんな選手のことを思い出さないといけませんから、難しいですね。ただ、最も印象に残っている選手となると、やっぱりヴィッセル神戸で一緒にプレーした元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタ選手を挙げないわけにはいかないでしょう」

 これまで日本でも数々の世界最高峰の選手たちがプレーしてきたが、今年7月まで神戸に在籍していたイニエスタも、間違いなくその1人だろう。「ピッチでのプレー、プライベートでの様子、すべてが印象に残っている」と、ドウグラスは2020年と21年のチームメイトについて振り返った。

 20年のゼロックス・スーパーカップで挙げた神戸加入後の初ゴールは、イニエスタのスルーパスから決めたものだった。「それまでは何度も映像で見てきたようなパスでした。彼と同じチームでプレーできたことは、特別であり、光栄な経験になりました」と振り返った。

今もJリーグでプレーするパサーとストライカーにも注目

 そして、日本人選手で最も印象に残っている選手にも、パスの名手の名前を挙げた。「アオですね」と、2015年にリーグ優勝を成し遂げたチームキャプテンのMF青山敏弘を挙げた。

「技術的なクオリティーはもちろんですが、当時の彼のキャプテンシーですね。キャプテンだからと言って特別になにかを表立ってしたり、言ったりするわけではありませんでした。それでも、普段からの彼の言葉であったり、チームに対しての向き合い方は、我々がリーグでいい成績を収められたのは、彼のような立役者がいたからこそだったと思っています」

 もう1人、ドウグラスが初めて加入した徳島ヴォルティスにも、日本が誇るタレントがいた。当時、セレッソ大阪から期限付き移籍で加入していた元日本代表FW柿谷曜一朗である。

「あの頃は自分も若かったですが、曜一朗も相当、若かったと思います。そのポテンシャルについては、誰もがご存じでしょうし、今さら言う必要もないでしょう。技術的なクオリティー、洗練されたアイデアというのは、ほかの選手が持っていないようなものを当時から持っていた選手でした。期待されたとおり、日本代表でプレーしましたし、ヨーロッパにも行ったと思います。今はベテランとしてプレーしていますが、まだまだ高いレベルでプレーできる選手として見ています」

 イニエスタはすでに日本を離れてしまったが、日本で12シーズン目を迎えているドウグラスにも強いインパクトを与えた青山と柿谷のプレーは、まだJのピッチで見ることができる。実績あるブラジル人選手にとっても、2人は特別な選手だったようだ。

[プロフィール]
ドウグラス/1987年12月30日生まれ、ブラジル出身。2006年に地元マラニョン州を本拠地とするモト・クルブ・ジ・サン・ルイスでプロキャリアをスタートさせた。ブラジルでクラブを渡り歩いて10年に徳島ヴォルティスへ加入。13年にはJ2で29試合12得点の活躍でチームのJ1昇格へ貢献した。14年途中に京都サンガF.C.へ移籍し、15年にサンフレッチェ広島へ。広島では33試合21ゴールを挙げて、得点王争いを演じた。優勝に貢献後、UAEやトルコでプレー。18年に日本へ復帰し、清水エスパルス、ヴィッセル神戸を経て21年から柏でプレーしている。15年にはJリーグベストイレブンに選出された。

(河合 拓 / Taku Kawai)



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