「ドイツは何してんねん!」 浅野雄也が兄・拓磨の“W杯劇的弾”に感じた悔しさ、日本代表への思い【インタビュー】

浅野雄也にとって兄・拓磨の存在とは?【写真:Getty Images】
浅野雄也にとって兄・拓磨の存在とは?【写真:Getty Images】

兄・拓磨は兄弟であり、ライバル「ゴールしたら悔しさはある」

 北海道コンサドーレ札幌のMF浅野雄也は今季すでに自身のJ1シーズン最多ゴール数を更新し、飛躍のシーズンを過ごしている。6月シリーズのメンバー発表前には、A代表初選出の待望論も出たほどだ。プロ5年目、浅野の中で日本代表はどのような場所なのか、その胸中を訊いた。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小田智史)

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 2019年にプロ入りし、J2水戸ホーリーホックでの活躍が認められ、J1サンフレッチェ広島へステップアップ移籍した浅野。今季からは3年間過ごした広島を離れ、活躍の場を札幌に移した。

 前半戦だけでリーグ6位タイの8得点。5月には第12節FC東京戦(5-1)、第13節湘南ベルマーレ戦(4-2)、第14節京都サンガF.C.戦(2-1)と、自身初の3試合連続ゴールをマークした。6月のキリンチャレンジカップに臨む日本代表のメンバー選考が水面下で行われている時期であり、A代表初選出を期待する声も多く上がった。

 結果的にメンバー入りはならなかったが、浅野は「正直、無理だろうと思っていました」と冷静に振り返る。

「きっと、このままだったら絶対に選ばれないだろうなと。攻撃の部分の質をもっと上げるのはもちろん、前からの守備の強度も上げていかないと日本代表は難しいと思っています」

 浅野にとって、日本代表でプレーする兄・拓磨の存在は大きな刺激だ。昨年のカタール・ワールドカップ(W杯)のグループリーグ第3戦ドイツ代表戦(2-1)で兄・拓磨が日本を勝利に導く決勝ゴールを挙げた際には、嬉しさと同時に悔しさもこみ上げてきたという。

「タク(拓磨)がゴールしたら、悔しさはあります。兄弟としてはもちろん嬉しいですけど、ライバルとしてはやっぱり悔しいので。タクが(カタール)W杯のドイツ戦で点を決めて日本が盛り上がった時は、『ドイツは何してんねん!』と思いました(笑)。ドイツがこんな簡単に点を取られるのか、という悔しさがありました。タクと2人で代表の話? 全然しないですね。仲はいいですけど、連絡はあまり取らないです」

ファン・サポーターからも「日本代表に入ってね」と期待の声

 ファン・サポーターからは、「日本代表に入ってね」と声をかけられることが増え、その言葉を「ありがたいこと」と感謝する反面、「(メンバーを)選ぶのは僕じゃないので」と浅野は苦笑する。浅野の中では、「自分ができること」の先に日本代表がある。

「もちろんサッカー選手である以上、日本代表は目指さなければいけないというか、目指すべきもだと思っています。でも、当たり前ですけど、行きたいからと言って行ける場所ではない。だから、欲を出して変に意識するんじゃなくて、チームでしっかり活躍して、その先に代表があればいいという風に捉えています」

 今以上にチームを勝利に導ける選手になった時、日本代表への道は自然と切り開かれるはずだ。

[プロフィール]
浅野雄也(あさの・ゆうや)/1997年2月17日生まれ、三重県出身。水戸―広島―札幌。J1通算101試合19得点、J2通算34試合4得点。負けん気の強さと明るいキャラクターでチームを勢い付ける俊足アタッカー。日本代表の兄・拓磨を彷彿させるパワフルなドリブルやフリーランニングでゴールを陥れる。

(FOOTBALL ZONE編集部・小田智史 / Tomofumi Oda)



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