堂安律が5年前に掲げた約束「俺は10番をつけてW杯に出る」 有言実行の男が次に目指す場所
6月シリーズで新10番を身に纏う
森保一監督率いる日本代表は、エルサルバドル代表、ペルー代表と対戦した6月シリーズで2連勝を飾った。今回、MF堂安律(フライブルク)が新10番として2試合に出場して1ゴールを挙げた。これまでMF中村俊輔やMF香川真司が背負い、カタール・ワールドカップ(W杯)ではMF南野拓実がつけた特別な番号。第2次森保政権スタートとなった3月では不在だったエース番号が決まったなかで、MF久保建英(レアル・ソシエダ)も「10番」への思いを口にするなど選手の競争意識が高まっている。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)
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24歳で最後の試合となった6月15日エルサルバドル戦、「10番・堂安」のデビュー戦となった。右インサイドハーフで出場し、1ゴール。新境地とも言えるポジションで堂安らしくプレーした。
いつも自身の思いを素直に口にし、言葉にすることでプレッシャーをかけるタイプ。時にはビッグマウスと言われるかもしれないが、誰に対してでもない、何より自分自身に言い聞かせている。10番を背負った重みも正直に話した。
「全然違いますね。それは感じている。ほかの選手が活躍したら自分も活躍しないと、と思っている。それも覚悟のうえで10番をつけている。色々な意見もあると思うけど、全部力に変えて黙らせたい」
堂安はずっとそうだ。2017年、U-20W杯で7番をつけた。当時も久保とピッチで共闘し、主力の堂安は4試合3ゴールの活躍で世界に名を知らしめた。それも有言実行。メンバー発表後の取材で「U-20W杯に懸けてきた。世界に名を売る」と宣言していた。15歳だった久保が世間では注目されていた一方で「最後は『堂安の大会やったな』とみんな言っていると思う」と試合前から話していた。
活躍が認められその夏にオランダ1部フローニンゲンへ移籍。着実にキャリアを積むなかで次なる目標を掲げていた。それは東京五輪で10番をつけること。2018年4月、オランダで取材をした際には「東京五輪で10番を背負うためには何をすればいいのか。逆算して考えている」と話していた。そして、宣言どおり東京五輪でも10番をつけた。
同年5月31日、ロシアW杯のメンバー発表の日。堂安がガンバ大阪時代から憧れていたFW宇佐美貴史がメンバー入りを果たした。そんな日に、帰国していた堂安に話を聞いた。「この次のW杯は俺が出る。今はまだA代表に選ばれていないけど、俺は10番をつけてW杯に出る」。確かにそう話していた。
エースナンバーへの並々ならぬ思い「長期的につけるのが理想」
そして今年5月27日、ブンデスリーガ最終節フランクフルト戦後に今シリーズで背番号10になったと連絡が入った。でもここはゴールではない。
「(10番を)つけて結果を出したことを評価してほしい。一発で10番をつける人はこれからもいるかもしれない。長期的に10番をつけるのが理想。そこで結果を出すのを評価してほしい」
かつて、MF本田圭佑も願ったがつけられなかった10番。今回は久保が「10番をつけられなかったので」と、思いを吐露した。それを受けて堂安は「建英だけでなく日本代表の10番はみんなが目標にするもの。全選手がそれを求めてもいいと思う。その中で第三者に評価してもらうもの。守るのではなく、攻める10番でいたい」と、競争を歓迎した。
堂安も久保もそうやって高め合ってきた。今、森保ジャパンに漂う選手同士が作り出すこの空気感は紛れもなく3年後のW杯で生きてくるはずだ。