森保ジャパン、長年の課題解消へ? “1トップ問題”の光明…上田綺世と古橋亨梧が示した日本の新たなFW像

古橋亨梧と上田綺世はゴールでアピール【写真:徳原隆元】
古橋亨梧と上田綺世はゴールでアピール【写真:徳原隆元】

上田と古橋はそれぞれゴールをマーク

 森保一監督率いる日本代表(FIFAランキング20位)は、6月15日にキリンチャレンジカップ2023でエルサルバドル代表(同75位)と対戦し、6-0で快勝した。カタール・ワールドカップ(W杯)後3試合目で第2次森保ジャパンの初勝利。前半開始直後に相手DFが一発退場となるアクシデントはあったが、1トップに入ったFW上田綺世(セルクル・ブルージュ)は国際Aマッチ出場15試合目で初ゴールをマーク。MF堂安律(フライブルク)の得点につながった場面では、会場をどよめかせるポストプレーを見せるなど、持ち味を発揮した。途中出場のFW古橋亨梧(セルティック)もゴールし、日本が長年抱えてきた“1トップ問題”に明るい材料が増えた。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)

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 開始わずかだった。すでに1点をリードしていた前半3分、上田は自らのプレスから相手のミスを誘った。相手DFはレッドカードで一発退場。ペナルティーキック(PK)を獲得した。キッカーはもちろん上田。同4分、冷静にゴールに決め、両手を合わせ安堵の表情を浮かべた。これがA代表初ゴールだった。

「とりあえずホッとしている」

 上田の特徴が出たのは前半終了間際、素晴らしいポストプレーで起点となると、MF三笘薫が持ち込んでシュート。これは相手GKにはじかれ、こぼれ球を堂安が押し込んで決めた。「薫くんもタケ(久保建英)もボールを持てる人が多いので、そこで簡単につなげるというのが効果的だと思うし、自分にしかできない部分だと思うので、挑戦していきたい。毎回、成功するわけじゃないけど、相手の脅威になれれば」。この「自分だけにしかできない部分」が上田の絶対的な武器の1つ。ベルギーリーグで22ゴールを挙げ、屈強な世界のDF相手に磨きをかけてきた。

 日本代表は長年、FW大迫勇也(ヴィッセル神戸)が1トップを牽引。一方で、大迫不在時の後継者探しは大きな課題だった。カタール・ワールドカップ(W杯)ではFW前田大然(セルティック)が前線でプレスをかけ続けるスタイルで君臨し、FW浅野拓磨(ボーフム)も本大会でゴールを決めたが、まだまだ絶対的な存在とは言い難かった。

 そして今回、再び上田が抜擢された。ここまで出番はありながらも数字がついてこず苦しい時期を過ごした。1点を取ったことで、また見えてくる景色もある。1つ後ろのポジションについたMF久保建英(レアル・ソシエダ)や三笘、インサイドハーフのMF旗手怜央(セルティック)や堂安とのさらなるコンビネーションの高まりにも期待が懸かる。上田の存在は日本代表にとって大きなプラスとなるはずだ。

 その上田にとって刺激となる古橋。なかなか代表へ呼ばれない不遇の時を経て、スコットランドで圧倒的な結果を残して今回招集された。喜ばしい復帰とともに“絶対に決めないといけない”プレッシャーはあったことだろう。それでも、シーズンで磨きをかけた消える動きからのヘディングシュートをゴールに突き刺してアピールに成功した。

 相手が10人だったこともあるが、何人であろうとゴールは決めなければいけない。仕事をしっかりとやり遂げた2人は“1トップ問題”解消に向けての好材料となることは間違いない。

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