日本代表、タレント集団が見せつけた実力差 英記者が絶賛「まさにお金を払って見るべきチーム」
【識者の目】一方的な試合のなか、森保ジャパンが全体的な高いパフォーマンスを発揮
森保一監督率いる日本代表(FIFAランキング20位)は6月15日、豊田スタジアムでエルサルバドル代表(同75位)との国際親善試合を行い6-0の快勝を収めた。かつてアジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、昨年のカタール大会でワールドカップ(W杯)を7大会連続で現地取材した英国人記者のマイケル・チャーチ氏は、タレント揃いの日本代表チームを絶賛している。
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ウーゴ・ペレス監督と彼のエルサルバドルの代表チームには同情せずにはいられない。森保一監督が送り出したタレント揃いのチームと対峙するのは11人でも要求の厳しいものだったはずだ。
しかし、主審のアンドリュー・マドレイがロナルド・ロドリゲスを開始3分で退場させたことで、彼らにとっては非常に長い夜を迎えることになった。
森保監督はカタール・ワールドカップ(W杯)までの4年間では考えられなかったが、今ではそれが当たり前であるかのような大胆なメンバー選択を行った。それどころか、この試合の先発メンバーはこれまでで最も冒険的なものだった。
現在の日本代表はエキサイティングなタレントが揃い、攻撃的で、気品もある。多くのチャンスを作り出し、相手を支配し、見事な勝利を収める。まさにお金を払って見るべきチームだ。スピードや正確性もある。ロドリゲスの退場がなくても日本はエルサルバドルのディフェンスにメスを入れていた可能性が高いだろう。
驚いたのはそのスピードだ。キックオフからわずか1分で得点が決まるというのは珍しく、それが谷口彰悟のヘディングというのも予想外だった。だが、久保建英のキックは寸分の狂いもなく、元川崎フロンターレの谷口は完璧なタイミングで飛び込んだ。
4分には上田綺世のペナルティーキック(PK)で2-0となった。ロドリゲスのファウルは日本にとっては贈り物だった。ロドリゲスが早々にシャワールームに向かうことになったこの時点で、試合は事実上終わっていた。
久保、堂安の追加点が前半の素晴らしいパフォーマンスに大きな輝きを与えた
相手に退場者が出た時によくありがちなように、日本もしばらくはエルサルバドル相手に攻めあぐねた。3点目を奪うのが前半25分までかかったのはこの夜の数少ないサプライズの1つだった。これほど支配的な状況では自己満足に陥ってしまう危険性もあった。
しかし、久保の見事なフィニッシュと堂安律が至近距離から押し込んだ4点目が前半の素晴らしいパフォーマンスに大きな輝きを与えた。森保監督はハーフタイムに、同じことを続けるように求めるほかなかっただろう。
このような一方的な試合では個々の選手をピックアップして、称賛したり批判するのは難しい。森保監督は守田英正の両脇に旗手怜央と堂安律を配置するという決断を下し、ビジターチームを圧倒した。
三笘薫はボールを持つと躍動し、久保は相手のディフェンスを困惑させた。フルバックの森下龍矢と菅原由勢も存在感を示していた。
森保監督は招集していないベテラン選手たちについて、必要が生じれば呼び戻す準備があるが、この試合のパフォーマンスは彼らを呼び戻す必要がないことを示唆していた。
もちろん、次のペルー戦はより厳しいチャレンジになるはずだが、日本は今世界をリードするチームの1つと考えられるだけの理由を示している。これほどの攻撃的なタレントが揃う森保ジャパンに匹敵するチームは多くはいないだろう。
マイケル・チャーチ
アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。