FC東京×浦和、「注目のマッチアップ」を番記者が厳選 勝敗を左右する中盤の争いは?
【特集|番記者の目】「松木玖生vs伊藤敦樹」は中盤の主導権の行方を占う
2023年のJリーグが2月18日に開幕する。数あるカードの中で注目の1つが、FC東京が浦和レッズをホームに迎える一戦だ。隣接したホームタウンを持つ両者はどのような戦いを見せるのか。予想されるマッチアップから3つをピックアップしてみたい。
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■「アダイウトンvs酒井宏樹」
FC東京の左ウイングは、J1でも屈指の“重戦車系”ドリブラーのFWアダイウトンが予想される。2015年から日本でプレーするブラジル人は、突破力と得点力を両立する存在。昨季は自身初めてJ1で2桁ゴール(12得点)をマーク。アルベル・プッチ・オルトネダ監督の指揮が継続するなかで、彼の生かし方も生かされ方もチームとして確立していると言えるだろう。
迎え撃つと見られるのが、浦和の日本代表DF酒井宏樹だ。欧州で9シーズンをプレーしたあと、2021年夏の移籍ウインドーで浦和に加入した。フランス1部の名門マルセイユでは、パリ・サンジェルマン(PSG)のブラジル代表FWネイマールと何度となく対峙したように、日本の対人守備スペシャリストでもある。今季は主将にも就任し、一層の活躍に期待が懸かる。両者のマッチアップが実現すれば、高い強度とスピードの中で丁々発止の戦いになるだろう。
唯一の不安要素は、酒井が2月13日の公開練習で途中から別メニュー調整だったこと。もし出場が難しければDF馬渡和彰の起用が見込まれるが、浦和としては調整が順調なことが願われる。
■「松木玖生vs伊藤敦樹」
昨季に高卒ルーキーとしてリーグ31試合出場とレギュラー格のプレーを見せた松木は、今季も左インサイドハーフが主戦場と見込まれる。22歳以下で構成される2024年パリ五輪を目指す代表チームで頭角を現すことも期待される2年目は、よりダイナミックかつ攻守に関与するプレーが期待される。背番号が一桁の「7」となったのは、クラブからの評価が期待ではなく、中心選手という認識に変わっていることの表れとも言えるだろう。この開幕戦でのプレーが注目される。
そこにマッチアップするのは、浦和のMF伊藤敦樹になるだろう。こちらは浦和ユースから流通経済大を経てプロ入りして3年目。昨季からは同じ経歴の先輩である元日本代表DF宇賀神友弥(元FC岐阜)から背番号「3」を受け継いだ。ルーキーイヤーからレギュラー格の出場数を確保したことも含め、プロキャリアとしては松木の1年先を行くような印象もある。こちらも「ボックス・トゥ・ボックス」でピッチ上をダイナミックに上下するプレーに加え、強度とテクニックを両立した万能型。どちらが中盤の主導権を握るかがゲームに大きな影響を与えそうだ。
番外編では「長友佑都vs興梠慎三」の36歳ベテラン対決も注目
■「東慶悟vs小泉佳穂」
FC東京で4-3-3の心臓部になるアンカーを務めると見込まれるのがMF東慶悟で、攻守の要になる。高いテクニックの持ち主でパサーの印象も強いが、実際には強度の高いプレーを継続できるのも強み。アルベル監督2年目のFC東京にあって若手も増えてきたが、J1で通算348試合出場のベテランが持つ経験は得難いもの。チームの中心に君臨する「10番」のプレーがチームの結果に与える印象は大きいだろう。
それに対し、浦和で背番号とは別にチーム内で「ナンバー10」と呼ばれるトップ下に入ると見込まれるのがMF小泉佳穂だ。中学生年代ではFC東京の下部組織にも所属したが、前橋育英高、青山学院大、FC琉球を経て浦和に加入して3年目になる。今季はマチェイ・スコルジャ新監督の戦術でより得点やアシストが要求されるだけに、開幕戦で数字を残したい。また、標榜するハイプレスでは最も精度の高い動きができるアタッカー。ボールを捌こうとする東へのコースを寸断しつつ、プレスバックでボール奪取を狙おうとする場面も多くなりそうだ。
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番外編としては、2月14日に行われた「2023 Jリーグキックオフカンファレンス」に出席したFC東京の日本代表DF長友佑都と、浦和レッズのFW興梠慎三。ともに36歳の同学年でもあるベテランは長友が東福岡高、興梠が鵬翔高出身で、九州の高校サッカー時代からの付き合いだ。
当時アンカーだった長友が「マンマークして、いつも言い合いをして喧嘩をしていた」と話せば、興梠も「水を飲む時まで付いてきた」と笑った。お互いにスタメン出場かどうかは分からないが、勝負どころでの起用があればどちらが勝利に導くようなプレーができるか、チームを落ち着かせるようなベテランの味を見せられるのかにも注目だ。
(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)