板倉滉「もうちょっと…」 ボルシアMGの課題を指摘、「さらに強くなる」ポイントは?

【ドイツ発コラム】レバークーゼン戦で2-3敗戦、浮かび上がった課題
日本代表DF板倉滉が所属するボルシアMGは、ここ数シーズン苦戦している。少し前まではUEFAチャンピオンズリーグ(CL)出場権を争うクラブの1つだったが、昨季はUEFAヨーロッパリーグ(EL)出場権も逃した。それだけに今季へ懸ける思いは強い。第18節終了時で勝ち点25の8位という順位は悲観するほど悪くはないが、そこからEL出場権争いに食い込んでいくためにはもう一回り上乗せが必要となる。
中断明けのレバークーゼン戦では最終的に2-3と1点差まで追い上げたことはポジティブな点だが、一時は0-3とKO寸前まで追い込まれていた事実がある。ボールを自分たちで保持して、動かして、攻撃を形作っているスタイルを志向するうえで、ボールロストの仕方が危なかったり、カウンター対策が的確に取られていないと、ピンチの連続になってしまう。
レバークーゼンは前線にブンデスリーガ全体を見てもトップレベルのスピードを誇るフランス代表FWムサ・ディアビとFWアミン・アドリがいた。板倉も起点を潰そうと激しいチャージを仕掛けるが、そこでダイレクトにはたかれてしまったり、ヘディングでうしろのスペースに流されてしまう。センターバック(CB)の一枚が前に出てあたる際にそこをカバーする選手がいなくなるというよろしくない局面が散見する。
前半43分の失点シーンは、相手からのなんでもなさそうなロングボールがボルシアMG守備ライン裏へと抜けてきて、スイス代表CBニコ・エルベディがアドリとのスピード勝負に敗れてそのままゴールを許してしまった。
後半に入ってもカウンターの鋭さに苦しめられるボルシアMG。それでも同4分、同24分のシーンでは最後のところで板倉がタイミングのいいブロックでシュートを跳ね返し、なんとか凌いでいく。
終盤途中出場したキャプテンのFWラース・シュティンドルの2ゴールでもしやという雰囲気を作り出すことができたことに関しては、ダニエル・ファルケ監督も「素晴らしいメンタリティーを見せてくれた」と褒めていたが、カウンターからビッグチャンスを何度も作られての3失点という展開に満足するわけにはいかない。
「勝ち点を持ってスタートしたかった。ボールポゼッション、シュート数では良かったが、でもサッカーはゴール数が物を言うゲームだ。優位性を持って試合を運べたが、はっきりしたゴールチャンスが少なかった。それにカウンターに強いレバークーゼン相手に、不必要なボールロストもあったのはいただけない。相手はブンデスリーガでもカウンターの鋭さはナンバー1。そこ相手にバランスを保つのは難しいのだが」(ファルケ監督)

中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで、さまざまなレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス取得(UEFA-Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、16-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。『ドイツ流タテの突破力』(池田書店)監修、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)執筆。最近はオフシーズンを利用して、日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで精力的に活動している。