レアルFWロドリゴが見せた“門”を通す突破力 類稀な才能の片鱗…クラシコでのワンプレーに驚愕

レアルMFロドリゴ【写真:Getty Images】
レアルMFロドリゴ【写真:Getty Images】

【識者コラム】スーペルコパ決勝の後半に垣間見たワンツーからの突破に注目

 現地時間1月15日に行われたスーペルコパ(レアル・マドリード対バルセロナ)を見ていて、その上手さに唸ったのが後半34分あたりのFWロドリゴのプレーだった。

 試合自体はバルセロナが3-1で快勝。レアルはコンディションが整わないのかあまりいいところのなかった1戦だったのだが、0-3となってからは相手が守備寄りになったこともあってようやく攻勢をかけていった。ちょうどそのあたりでロドリゴのミドルシューが飛び出した。ただ、凄かったのはシュートではなく、そこへ持っていくまでの過程である。

 左側のハーフスペースあたりでパスを受けたロドリゴはまず、立ちはだかる2人のDFの中間地点を通過するような「雰囲気」を出す。向こう側にはFWカリム・ベンゼマが待っていたので、「DFの“門”の間へボールを通してベンゼマにクサビのパスを届けるのかな?」とその場面を見たときは思った。

 しかし、ロドリゴはベンゼマへのパスでも自らのドリブルでもなく、少し警戒して固定された“門”の右側にいたFWマルコ・アセンシオへのパスを選択した。そして、自らは2人のDFによる“門”の間を通過し、アセンシオからのリターンパスを受けた。さらに前後に挟みに来た相手の、今度は斜めの“門”の中間点をドリブルで通過、そしてシュートを打った。

 ロドリゴはこの一連のプレーで相手DF4人を手玉にとっている。ワンツーで2人を置き去りにし、続けてドリブルで2人まとめて置き去り。凄いのは、2人のDFのちょうどの中間点を続けざまに通過してしまっていること。最初は真っすぐ、次には右斜めへ動きで、いずれも“門”の間を通過した。最初のゲートを潜ってアセンシオからのパスを受けた場所が、次の“門”を通過するための入り口になっていた。

 どこかで見た覚えがあると思ったら、カタール・ワールドカップ(W杯)でのブラジル代表対クロアチア代表でのFWネイマールの得点がこれと似ていた。ネイマールの得点は2つのワンツーによるもので、ワンツーとドリブルを組み合わせたロドリゴとは形のうえでは違っている。ただ、複数のDFを一気にまとめて置き去りにするアイデアがよく似ているのだ。ネイマール、ロドリゴはスルスルっとDFの間へ入っていく。それが2人のDFの中間点なのでどちらが守備をするのか一瞬迷い、迷った瞬間に彼らは抜けていく。

 レアルで長いことスーパーサブ的な扱いだったロドリゴは、重要な試合で得点をとるなど活躍はしていたが、どこが凄いのかはあまりよくわからなかった。しかし、最近のプレーを見ていて、遅まきながら確かにほかの選手にはない能力を持っているのがわかるようになった。ネイマールやメッシが持っているのと同種の能力であり、なかなか説明するのが難しいが、特定の選手たちには確かにあるとわかっている類の強力な才能だ。主に眼と頭脳に関する能力なので、わかりにくい。ロドリゴはあまりのもさりげないので、派手なテクニックもあるネイマールに比べると埋没感がある。ただ、ブラジル代表でも周囲が理解してくれている雰囲気はあったので、これからが楽しみではある。

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西部謙司

にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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