奮起を期待し昌平キャプテンが怒りの檄 1、2年生に向けられた成長への言葉「許しませんでした」

昌平のキャプテンCB津久井佳祐【写真:和田秀太郎】
昌平のキャプテンCB津久井佳祐【写真:和田秀太郎】

前橋育英に1-2逆転負け、ベスト8を前に姿を消す

 優勝候補同士が3回戦で雌雄を決した。第101回全国高校サッカー選手権大会第4日は1月2日、浦和駒場スタジアムなどで行われ、初優勝を目指した昌平(埼玉)は前橋育英(群馬)に1-2の逆転で敗れ、ベスト8を前に姿を消した。

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 幸先良く先行した。前半3分、新チーム結成とともに頭角を現した2年生ボランチ土谷飛雅が敵の守備を切り裂く縦パスを入れた。今大会初出場の1トップ上野旭陽が、このボールを目掛けて猛然とダッシュ。敵のGK雨野颯真もボールに追い付こうと前方に出てきた。上野は一歩及ばずクリアされたが、MF荒井悠汰が回収すると自慢の左足で無人ゴールに流し込んだ。30メートルほどのロングシュートだった。クリスティアーノ・ロナウドを真似たパフォーマンスで喜びを表現した。

 ところが、これが刹那的歓喜に終わろうとは、荒井もチームも想像の範囲ではなかったはずだ。絶好の時間に先制したが、ここから悪い流れにはまっていった。

 前橋育英がピッチで示した攻守を切り替える速さとタイミング、大勢の人を経由してリズミカルにボールを動かす技術と戦術に後手後手となり、こぼれ球を拾うにもわずかな出足の一歩で遅れを取り、昌平らしい抜群のテンポで展開する攻めに転じられなかった。

 藤島崇之監督は会見場になかなか姿を見せなかった。最後のミーティングに長い、長い時間を割いていたのだろう。「相手のプレスの早さと局面の粘り強さはすごかった。うちに足りないものを見せてもらいました。これを次への糧にしたい」と潔く完敗を認め、表情には悔しさがにじんでいた。

 前半のシュートは荒井のこの1本だけで、後半の決定機も23分に敵の守備ラインを切り裂いた荒井の出色のロングパスから、途中出場のFW小田晄平が放った右足シュートが、左に50センチほど外れた一撃しかなかった。

 2回戦で2得点1アシストと大活躍したMF篠田翼もシュートを1本も打てず、ゴールを脅かすドリブルやパスもなかった。後半のアディショナルタイムは4分。矢野浩平主審の長い笛が鳴り、大半の選手が膝を折り、ピッチに倒れ込んだ。

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河野 正

1960年生まれ、埼玉県出身。埼玉新聞運動部で日本リーグの三菱時代から浦和レッズを担当。2007年にフリーランスとなり、主に埼玉県内のサッカーを中心に取材。主な著書に『浦和レッズ赤き激闘の記憶』(河出書房新社)『山田暢久火の玉ボーイ』(ベースボール・マガジン社)『浦和レッズ不滅の名語録』(朝日新聞出版)などがある。

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