寡黙な男が若手選手の指導にも尽力 現役引退の駒野友一が今治の4年間で残したもの

引退セレモニーでの駒野友一【写真:寺下友徳】
引退セレモニーでの駒野友一【写真:寺下友徳】

背中で「プロのなんたるか」を示した今治での4年間

 2018年初冬、アビスパ福岡を契約満了となり、「サッカー選手としての終わりが近づくなかで、どのタイミングで引退するか」を真剣に考えるようになったタイミングで今治からのオファーが届いた駒野。「感謝の気持ちを忘れず、若手選手に技術面の指導をするようにしよう」と心に刻んで今治の地へ向かった。

 ボール回し1つをとっても「何よりも楽しいが、そこでも技術は発揮できるし、今の自分の実力を見てもらって、若手に影響を受けてもらうことを意識していた」彼の背中で、「プロのなんたるか」を示す姿勢は、今治の選手たちに有形無形の好影響を与えた。2019年、駒野自身も「今治の4年間で一番嬉しかった」J3昇格をともに成し遂げた楠美は言う。

「駒野さんの存在はこのクラブにとって何よりの財産。試合に出られない状況でも淡々と練習に取り組む姿を見て、日本のトップ選手はこういうものなんだと感じました」

 その姿勢は3年余りが経った今でも不変である。今季途中に清水エスパルスから期限付き移籍加入して12得点とブレイクしたFW千葉寛汰は、こんなエピソードを話してくれた。

「駒野さんから言われたことで一番覚えているのはクロスに対する入り方。『自分が蹴るタイミングで強くアクションしてほしい』と動き出しについてアドバイスを受けました」

 点を取れるオールラウンダーを目指す千葉にとって、「プレーの幅が広がった」今治での成長は駒野一の存在なくしてありえないものだった。

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