神奈川県が2022年のJリーグを席巻 際立った2クラブのコントラスト…重要な共通項とリーグを盛り上げるエンターテインメント性

追われる側となる横浜FMも川崎を特別視「良きライバル」「常に怖い存在だった」

 来季、今度は追われる側となる横浜FMも川崎を特別視している。MF水沼宏太が「Jリーグを引っ張ってくれている存在で、これからも良きライバルとして神奈川県を盛り上げるためにやっていけたら」とリスペクトを表現すれば、岩田も「1試合でも落としたら順位が入れ替わる状況だったし、常に怖い存在だった」と圧力を感じていたことを吐露した。

 2017年に川崎がリーグ初優勝を飾ってからの6シーズンは、川崎市と横浜市をシャーレが行き来している。それだけ両チームのクオリティーが優れている証だろう。プレーモデルが確立されているのも重要な共通項で、Jリーグファンであればチーム名を聞けばサッカースタイルがイメージできるのではないか。

 直接対決は1勝1敗の互角で、見ごたえ十分の2試合だった。そして勝ち点68と66の僅差で明暗が分かれた。3位のサンフレッチェ広島が勝ち点55にとどまったことからも、両チームが頭一つ以上抜けていたのは間違いない。

 2023シーズンは、両チームが終われる立場としてシーズンを戦っていくのだろう。少なからず遺恨のある関係性も、プロレスなら欠かせないファクター。ピッチ内外でのエンターテインメント性の高さが、来季以降のJリーグをさらに盛り上げていく。

(藤井雅彦 / Masahiko Fujii)



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藤井雅彦

ふじい・まさひこ/1983年生まれ、神奈川県出身。日本ジャーナリスト専門学校在学中からボランティア形式でサッカー業界に携わり、卒業後にフリーランスとして活動開始。サッカー専門新聞『EL GOLAZO』創刊号から寄稿し、ドイツW杯取材を経て2006年から横浜F・マリノス担当に。12年からはウェブマガジン『ザ・ヨコハマ・エクスプレス』(https://www.targma.jp/yokohama-ex/)の責任編集として密着取材を続けている。著書に『横浜F・マリノス 変革のトリコロール秘史』、構成に『中村俊輔式 サッカー観戦術』『サッカー・J2論/松井大輔』『ゴールへの道は自分自身で切り拓くものだ/山瀬功治』(発行はすべてワニブックス)がある。

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