玉田圭司が語るドイツW杯ブラジル戦ゴールの真実 激しいぶつかり合いで深まった“黄金の中盤”との絆「大事な要素だった」

ブラジル戦でゴール決めたFW玉田圭司【写真:Getty Images】
ブラジル戦でゴール決めたFW玉田圭司【写真:Getty Images】

【2006年ドイツW杯戦記|玉田圭司】ブラジル戦で生まれた衝撃の一撃を振り返る

 今年11月、いよいよカタール・ワールドカップ(W杯)が開幕する。森保一監督率いる日本代表は、グループリーグでドイツ、スペイン、コスタリカと対戦。日本にとっては“死の組”とも言える組での熱戦が期待される。

 7大会連続となる世界の大舞台。これまで多くの代表選手が涙を流し、苦しみから這い上がり、笑顔を掴み取って懸命に築き上げてきた日本の歴史だ。「FOOTBALL ZONE」では、カタール大会に向けて不定期企画「W杯戦記」を展開し、これまでの舞台を経験した人たちにそれぞれの大会を振り返ってもらう。第2回はドイツW杯のブラジル戦で記憶にも記録にも残るゴールを決めた玉田圭司だ。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)

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 グループリーグ突破へ厳しい状況に追い込まれていた日本に、一筋の光が差した。ドイツW杯グループリーグ第3戦、相手はロナウドやロナウジーニョを擁する強敵ブラジルだ。前半34分、三都主アレサンドロのスルーパスに反応した玉田が左足を振り抜き、ブラジルに一泡吹かせる強烈な先制弾を決めた。試合は1-4で敗れたものの、玉田の一撃は記憶にも記録にも残るゴールとなった。

 だが、この一発はただの1点、ただのゴールではなかった。ドイツW杯メンバーの集大成とも言える、本当に意味のあるゴールだった。

 ドイツW杯メンバーと言えば、“黄金のカルテット”。中田英寿、中村俊輔(現・横浜FC)、小野伸二(現・北海道コンサドーレ札幌)、稲本潤一(現・南葛SC)……。W杯では4人同時に起用されることはなかったものの、強烈な中盤の印象は強い。また、4人だけでなく、小笠原満男や遠藤保仁(現・ジュビロ磐田)、福西崇史と豪華なメンバーが中盤に揃っていた。当時、若手だった玉田にとってもこれまで経験したことのないプレーの質に驚くばかりだった。

「当時、海外組のメンバーが多くて、Jリーグの選手もたくさん中盤の選手はいたんだけど、みんな本当に上手い。俺が最初に代表合宿行った時、本当に度肝を抜かれた。代表経験が全くなくて、どんなものなのかも分からずに合宿へ行った。W杯予選前の合宿。まずボールを取られないし、基本的な技術がすごく高い。代表ってこんなところなんだ、というのを思い知らされた。本当にいいパスがくるから、自分が気持ち良くプレーできた」

 特に1学年上の小笠原や小野は高校時代からの憧れでもあった。

「(小笠原)満男さんは大船渡高校で、練習試合を結構やらせてもらっていた。でも、大船渡高校はそこまで強い学校じゃなくて、だからこそ際立って1人だけ別次元だった。全くボールを取られないし、黙々とやっていてかっこいいな、と思わせてくれる。(小野)伸二さんは高校の時から超が付く天才で、ボールを取られなくて技術が高い。そう思っていたけど、一緒にやると自分のプレーだけじゃなく、プラス余裕がある。周りに気を使ってプレーできる選手。俺がこういうプレーをしたいとか、こういうパスが欲しいとか思いを汲んでくれるから一番やりやすかったかな」

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