柏×神戸の“PKジャッジ”は「十分ファウルに値する」 元主審・家本政明氏が見解「妥当な可能性が高い」

柏×神戸で起きたPK判定を家本政明氏が分析【写真:Getty Images】
柏×神戸で起きたPK判定を家本政明氏が分析【写真:Getty Images】

【専門家の目|家本政明】神戸DF菊池の柏MF戸嶋へのプレーは「ファウルに値する」

 6月18日に三協フロンテア柏スタジアムで行われた柏レイソル対ヴィッセル神戸は、3-1で柏が勝利した。この一戦で大きな話題となったのが、前半41分に神戸DF菊池流帆と柏MF戸嶋祥郎が神戸のペナルティーエリア内で接触し、一度は直接フリーキックと判断されたのち、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)の介入とオンフィールドレビューを経て、ペナルティーキック(PK)と判定が変わったシーンだ。2021年シーズン限りでサッカー国内トップリーグの担当審判員を勇退した家本政明氏は、「妥当な判定の可能性が高い」と分析している。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部)

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 1-1で迎えた前半41分、柏が神戸陣内で攻め込み、こぼれ球に柏MF戸嶋と神戸DF菊池が飛び込む。ペナルティーエリアのライン上付近で先に菊池がボールに触ったかに見え、その後戸嶋が足を抱えて倒れ込んだ。

 佐藤隆治主審はまず、ペナルティーエリア外の部分で菊池のファウルがあったとして、柏のFKと判定した。その後、VARが介入し、オンフィールドレビューの結果、ペナルティーエリア内でのファウルだったとして、柏のPKに判定を変更。MFマテウス・サヴィオが冷静に決め、結果的にこれが決勝点となった。

 家本氏はまず、菊池の戸嶋に対するプレーは「十分反則と判断できる」と語る。

「両選手のコンタクトは間違いなくあります。では、どこの部位がどこに当たっているのか、それが反則に値するだけのものなのか。まず、菊池選手が右足で軽くボールに触れます。ボールの上っ面に触れた菊池選手の足のスパイクの裏が、そのまま戸嶋選手の左の内すねに入ります。この接触の瞬間は中継では横アングルの映像がないので100%とは言い切れませんが、映像をスローにして見たり、足の動きなどを踏まえるとスパイクの裏は内すねに間違いなく当たっていると推測できます。多くの方が本当に『反則なの?』と思ったはず。僕も最初はそう思いました。ただ、足がボールに触れたあと、選手の安全を確保することが保証できない形でのチャレンジになったので、FKは間違いありません。ファウルの位置が中か外か確証性が持てなかったので、主審はPKではなくFKにしたのだと思います」

 家本氏は、「なぜVARが介入してきたか」に関してはこのように説明する。

「ペナルティーエリアの中で十分反則に値するコンタクトなので、(反則の位置が)中か外かだけの判断で言うと、本来はオンリーレビューだけで行けます。では、なぜ映像で確認させたのかの理由を考えた場合、もしかするとスパイクの裏での接触が十分に退場に値する可能性があると考えた、あるいは試合において重要な判断を求められる状況なので、周りの納得度を高めるためにもオンフィールドにさせた可能性があると思います」

「横のアングルの映像に基づいた事実が欲しい」として、家本氏は「100%」と言い切ることはできないと断りつつも、「菊池選手の足が相手に当たってるであろうと十分推測できるので、佐藤主審の判断、VARが入ってFKがPKに変わったのは妥当な可能性が高いと思います」と見解を示した。

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家本政明

いえもと・まさあき/1973年生まれ、広島県出身。同志社大学卒業後の1996年にJリーグの京都パープルサンガ(現京都サンガF.C.)に入社し、運営業務などに携わりつつ、1級審判員を取得。2002年からJ2、04年からJ1で主審を務め、05年から日本サッカー協会のスペシャルレフェリー(現プロフェッショナルレフェリー)となった。J1通算338試合、J2通算176試合、J3通算2試合、リーグカップ通算62試合で主審を担当し、J通算516試合担当は主審として歴代最多。2021年12月4日に行われたJ1第38節の横浜F・マリノス対川崎フロンターレ戦で勇退。今年からJリーグのフットボール本部・フットボール企画戦略部のマネージャーに就任した。

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