「今の応援、本当に意味あるのか」 Jリーグの声出し規制でファン離れ実感、湘南ゴール裏サポーターの胸中

選手たちを応援でを支える湘南サポーター【写真提供:髙橋 修】
選手たちを応援でを支える湘南サポーター【写真提供:髙橋 修】

【Jサポーターの声#2】湘南サポーターグループ・髙橋さんに訊くコロナ禍の応援規制への本音

 Jリーグは、コロナ禍の応援規制緩和策として「声出し応援エリア/声出し応援席」の段階的な導入に踏み切った。いわゆる“スタンダード”な応援スタイルを取り戻す兆しが、日本でもようやく見えつつあるなか、コロナ禍の応援規制にJリーグのサポーターは何を思ってきたのか。J1湘南ベルマーレのサポーターグループで中心的な役割を担う髙橋修さんに話を訊いた。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・橋本 啓)

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 髙橋さんはもともと野球少年だったが、学生時代から湘南サポーターの1人として足繁くスタジアムへ通った。「『練習終わったー、じゃ行こう』という感じだったのが、野球を辞めたタイミングで毎試合行けるようになって、今に至っています」。サポーターグループの一員になったのは、今から12年前の2010年。その6年後には、中心的な立場になった。

 社会人になった現在は、塾講師として働く日々を過ごしながら、試合のある日はスタジアムのゴール裏に出向く。「試合を観に行けるのに、家でテレビから観ているって凄く気持ち悪いというかもやもや、ざわざわしているように感じるようになっちゃって。今となってはスタジアムへ行くのが普通ですよね」。現地でしか味わえないムード、そこから得られる感情を味わうことは、今の髙橋さんには欠かせない。

 しかしそんな日常は、コロナ禍で劇変。感染防止対策としてスタンドでは声援を禁じられる日々が、ここ2年続いてきた。応援規制が敷かれた当初は、手拍子や太鼓を叩くことさえも許されず、選手の息づかい、ボールを蹴る音が静寂のスタジアムで響き渡った。

 ある意味で新鮮ではあるものの、ピッチで戦う選手たちを声援で後押しすることが、いわば、生活の一部となっていた髙橋さんは、応援規制をどう受け止めてきたのか。

「最初は『しょうがないよね』って。やっぱり世の中が一気にそういう方向に進んでいったので。でもよく考えたら、太鼓を叩いちゃいけないとか、手拍子をしちゃいけないとか、正直そのルールは意味が分からなかったですよ。

 テンション上がっちゃうからというのは分かりますけど、そのテンションの上げ・下げをしに行っているはずなのに、そこをぎゅっと抑え込まれているのって『すげぇ変だよな』っていうのは感じていました」

 応援から自由が奪われると、スタンドの光景も一気に変わった。長年、ともにチームを応援してきた仲間の姿が消え、声援が禁じられたことによって若者の姿も久しく見ていない。

「今までの楽しみがなくなれば『もういっか』ってなってほかの娯楽に行っても全然おかしくない。ウチなんかは強豪チームではないし、むしろ、試合に行ってさらにストレスを溜め込んで週を明けるとか普通にあるので、そういうことを考えると『どうなんだろう』って思っちゃいますね」と、髙橋さん。ファン離れが進む現状を憂いながら、さらに複雑な思いをぶつける。

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