ブラジル戦で浮かぶ森保Jの論点、必要なのは「三笘タイム」 南野拓実のウイング適性を日本代表OBが疑問視「なぜこだわるのか」
【専門家の目|金田喜稔】「適性に合った起用をすれば南野の能力はもっと生きる」と言及
森保一監督率いる日本代表は、6月6日に国立競技場で行われたキリンチャレンジカップのブラジル戦で0-1と敗れた。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏は、FW南野拓実(リバプール)の左ウイング起用を疑問視。「南野が悪いのではなく、シンプルに適性の問題」と触れつつ、「『三笘タイム』がチームにとって重要なのだ」とFW三笘薫(ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズ)のウイング起用を推奨している。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
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ブラジル戦で4-3-3システムを採用した森保ジャパンは、3トップの中央にFW古橋亨梧(セルティック)、左に南野、右にFW伊東純也(ヘンク)を配置。チームとしてもシュート4本(枠内シュート0本)と苦戦を強いられたなか、MF遠藤航(シュツットガルト)が2本、古橋と伊東がそれぞれ1本を放っている。
試合は後半32分のPKをネイマールに決められて0-1で敗戦。スコア以上の力量差を見せつけられたなか、金田氏は南野の左ウイング起用について「なぜ左サイドにこだわるのか。プレースタイルを見れば適性が疑問なのは明らか」と疑問を呈し、次のように解説を加えた。
「南野が本来の力を発揮できるのはペナルティーエリア近辺だ。基本的に、中央寄りでプレーした時に多彩なスキルを発揮できるし、相手にとっても怖い存在となる。南野にサイドでチャンスを作ってくれといっても、ボールが渡った時に『これが三笘だったら』という仕掛けのシーンが何度もあったし、現地やテレビで試合を観た人の中で同じように感じた人も少なくないだろう」
ブラジル戦で後半27分までプレーした南野はシュート0本に終わり、チャンスメイクの点でも物足りなさを残した。金田氏は「これは南野が悪いのではなく、シンプルに適性の問題だ」と強調する。
「南野の適性としてサイドが合っていないというだけで、適性に合った起用をすれば南野の能力はもっと生きる。適性のないポジションで適性のない選手を起用しても相手は怖くないし、左ウイングでの起用時、南野の良さがチームにとってプラスに働くことはないように思う」
もっとも、南野の左ウイング起用を完全否定しているわけではない。「たとえば、チーム全体で左サイドの南野を生かすような規律・戦術・共通理解があれば、それはそれでまったく問題ない。ただ、そういう印象は受けないし、チームとしてもそうした仕組み作りが施されていない」と補足している。
金田喜稔
かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。